藤野 昨日、ある経営者の方と話をしていたのですが、7年後というのが絶妙だと言うんですよ。これが3年後だったら、あまりにも期間が短すぎて、準備も突貫工事になる。かといって10年後だと、少し遠い未来に感じて人ごとになってしまうおそれがある。その点、7年後というのは手が届く未来だと。今思えば、確かに7年前って、そんなに遠い過去じゃないですよね。
五輪決定で閉塞感が消える?
中野 2006年か。経済の世界だと「デカップリング」なんて言葉がはやっていた時期ですね。今はもう死語だけど。
藤野 そう。リーマンショック前で、景気も少しよくなっていて、ライブドア事件と村上ファンド事件があった。
渋澤 つい最近のことのように感じるね。
藤野 でしょ。でも、ライブドア事件を例に挙げれば、あれから裁判が行われ、有罪確定したホリエモンは、もう刑務所から出てきている。ほかにもリーマンショックがあり、欧州債務危機があり、米国経済も日本経済も、そこからようやく立ち直りつつある。実際に時が流れてみれば、過去の出来事はちょっと甘酸っぱい想い出(笑)。
中野 そう考えると、7年という時間軸は長すぎず、短すぎずで、ちょうどいいのかもしれませんね。7年という時間があれば、羽田空港にもう1本、新しい滑走路が造れる。成田から東京まで地下鉄も通せる。リニアモーターカーの部分開通だってあるかもしれない。ちょっとワクワク感が高まってきていますよね、久しぶりに。時間軸という点で言えば、いわゆる「失われた20年」の間に、数字以上に人々のマインドが大きく低下したわけですが、7年後の東京オリンピック開催という大きな目標ができたことで、閉塞感も一気になくなるかもしれません。
藤野 いや、本当に今回こそ、ひょっとして、ひょっとするかもしれませんよ。アベノミクスにしたって、やれ成長戦略だ、規制緩和だと言っても、明確な目標が見えてこなかった。ベンチャーを育成すると言っても、「私はベンチャー起業家じゃないから関係ないよ」ってムードが広まりかけていましたよね。どことなく白けていた。それが、明確に7年後という期間が定められたことで、2020年に僕らは何歳で、何をしているんだろうと、具体性を持って未来を考えられるようになった。誰もが、そのときに社会が下り坂であってほしいとは思わないわけで、それが世の中を大きく変える原動力になると思います。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら