データで見る「日本のケア労働の遅れた実態」 APECで感じた「日本の常識・世界の非常識」

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日本の女性活用に足りない視点とは?

もっと根本的な施策を、あと数年でやらなければ、置いていかれる――。

9月末、ベトナム・フエで開かれたAPEC(アジア太平洋経済協力会議)、女性と経済フォーラムに参加した。ひとつのセッションをモデレートするため会場に入り、登壇者と意見交換した。そこで抱いたのは冒頭の感想だ。

日本国内では、いまでも女性リーダーを増やす施策は「女性に優しい職場づくり」と位置づけられることが多い。また、そうした施策を「女性優遇」と批判する声もある。そんな中、働く場における女性支援は何のためにやっているのか――。よくわからなくなることもあるかもしれない。

しかし、企業や政府、業界団体で女性リーダーを増やす施策に取り組む人は、迷っている余裕はない。ぐずぐずしていると、国際社会の常識から取り残されてしまうだろう。なぜなら意思決定権者に女性を増やすことは、もはや国際競争の一要素になっているからだ。

ここ3年で変わった国、さほど変わらなかった国

私が参加したのは、日本とベトナム政府が共催した「官民対話フォーラム」。その企画は数カ月前にさかのぼる。日本政府のAPEC事務局と外務省APEC室から委託され、日本のシンクタンク型NPO・Gender Action Platform(GAP)が、APEC加盟国・経済圏を対象に調査を実施。最近3年間で女性リーダーがどのくらい増えたか測るとともに、成果に影響を与える制度や施策を各国にヒアリングしたのだ。

フエで開かれたAPEC女性と経済フォーラムでは、GAP代表で上智大学名誉教授の目黒依子さんは、定量分析の結果を報告した。それによると、半数以上のAPEC参加国・地域で、2015~2017年の間に女性リーダーは増加している。

国や地域単位で見ると、カナダの7.6%増、韓国の4.6%増、フィリピンの3.1%増が目立つ。業界別に見ると、カナダでは政府の閣僚に占める女性割合が30%(2015年)から50%(2017年)に、インドネシアではCEOに占める女性割合が5%(2015年)から30%(2017年)に増えている。

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