出口治明「3大おカネの不安を解決する方法」 将来が心配で仕方がない会社員の人たちへ

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おカネの不安といえば、仕事、給与の不安もありますね。会社員の方なら1度は、「会社を辞めたい」と考えたことはあるのではないでしょうか。でも、「今辞めると金銭的に心配」「会社を飛び出すのは、ハードルが高い」とか、いろいろと考えることはありますよね。

『置かれた場所で咲きなさい』(渡辺和子著、幻冬舎)という本がベストセラーになりました。しかし、僕は必ずしも、置かれた場所で咲くことが正しいとは思っていません。

もちろん、置かれた場所で咲くことができればベストです。そこで全力を尽くせばいい。でも、全力を尽くしても咲けないと思ったら、咲ける場所を探したほうがいい。

日本興業銀行で働いていたとき、上司と一緒にある業界の大手企業に出向いてその業界の動向について教えてもらったことがありました。担当してくださったのは、企業の資料室の方なのですが、本当に詳しくてたくさんのことを学びました。帰りがけに、「なんであの人はあんなに詳しいんでしょうね」と上司に聞いてみると、「あの人は東大を出てとても優秀な人なんだけれど、派閥争いに負けてあそこにいるんだ」と言うのです。会社を飛び出せば、その知識も経験も今よりもっと生かせるかもしれないのに、もったいないことだと感じた記憶があります。

人間にとって何が幸せかといえば、僕は、元気なときに自分のやりたいことができることだと思うんです。やりたい仕事がやれず、窓際に追いやられ、年老いていくとしたら、それは不幸せです。

置かれた場所で咲けなければ、別の場所を探せばいい。そして社会は、それを応援すべきだと思います。

これは世代を問いません。僕は若い人たちにいつも、「君たちは、めちゃめちゃラッキーやで」と言っています。ある試算によれば、2030年には日本の労働力は800万人減少するといわれています。ということは絶対に食いっぱぐれないわけです。

50代は人生の真ん中

それから、国際競争力(IMDベース)の推移を見ていくと、1991年には日本は世界で1位でしたが、2016年には26位まで落ち込んでいます。
1位だったら、どれほど頑張っても現状維持です。でも26位なら、自分たちが頑張ればもっと順位を上げることができます。伸びしろが山ほどあるのですから、こんなに楽しい社会はないわけです。だったら自分のやりたいことをやったほうがいいですよね。

『人生100年時代のお金の不安がなくなる話』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

40代、50代も若い人と同じで、やりたいことをやればいい。僕は、50代は人生の真ん中だと思っています。計算してみると、そのことがよくわかります。「人生80年」として、そこから20を引く。20を引くのは、日本の大学進学率が5割強なので、日本人が社会に出る年齢は、平均すると20歳くらいだからです。

自分の足で歩きはじめるのが20歳と考えると、80歳までは60年ありますから、その半分は30年。20歳プラス30年で「50歳が真ん中」だと考えることができます。

定年がなくなって75歳くらいまで働こうと思えば、まだ25年もあるので、咲ける場所がほかにありそうなら、どんどん出ていけばいいですよね。

出口 治明 立命館アジア太平洋大学(APU)学長

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でぐち はるあき / Haruaki Deguchi

1948年、三重県生まれ。京都大学法学部卒業後、日本生命保険相互会社入社。ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを経て2005年に同社を退職。2008年にライフネット生命を開業。2017年に代表取締役会長を退任後、2018年1月より現職。『生命保険入門 新版』(岩波書店)、『人類5000年史Ⅰ』(ちくま新書)、『「全世界史」講義Ⅰ、Ⅱ』(新潮社)、『仕事に効く教養としての「世界史」Ⅰ、Ⅱ』(祥伝社)、『本の「使い方」1万冊を血肉にした方法』(角川oneテーマ)、『教養は児童書で学べ』(光文社新書)、『ゼロから学ぶ「日本史」講義Ⅰ』(文藝春秋)など著書多数。

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