出口治明「3大おカネの不安を解決する方法」 将来が心配で仕方がない会社員の人たちへ

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僕は、老後のおカネについては、まったく心配していません。それにはいくつか理由があるのですが、ひとつは定年をなくして生涯働けば、一定の収入が入ってきますから、心配はいりません。若い人は、「自分たちが高齢者を支えなければいけない」と考えているかもしれませんが、年齢フリーの社会を創り、みんながみんなを支える、つまり、「僕は70歳まで、私は75歳まで」というように、年齢フリーで働いて、働けなくなったら年金をもらうようにすれば、そんなに心配はいらないと思います。

公的年金保険は破綻するのか?

出口治明氏

年金については、さまざまな俗説が世間にあふれています。「年金不安」をあおるマネー本もたくさん出版されています。典型的なのは、「公的年金保険は破綻する」とか「将来年金がもらえないようになる」といったものです。

以前僕は、ブログの中で、「日本の公的年金保険は破綻しない」と書いたことがあります。現在、日本の税収は年間で約58兆円です(2016年度)。それに対して、歳出は約97兆円もある。税収よりも多くおカネを使えるのは、国債を発行しておカネを調達しているからです。

国債が発行できれば、年金の支給を含めて予算を組むことができるので、財政を維持できます。つまり、国債の発行が可能であるかぎり、公的年金保険が破綻することはない、と考えることができます。

一方で、国債の買い手がいなくなったときは、財政が破綻します。では、国債の買い手は誰かといえば、政府の一部門である日銀を除けば、日本では国債の多くを銀行、証券会社、保険会社などの金融機関が保有しています。

仮に日本政府がデフォルト(債務不履行)を宣言して、国債が紙くずになったとしたら、政府が倒れる前に、国債を抱えている金融機関は全部破綻して、市民の預貯金は紙くずになってしまいます。

金融機関がいくつか潰れても国は潰れませんが、国が潰れたら金融機関は必ず潰れる。ということは、近代国家では、国より安全な金融機関は存在しないということです。だから、その国以上の格付けを持つ金融機関は存在しない。

国が潰れたら、公的年金保険がどうとか言っている場合ではありませんので、悩んでいても仕方がありません。

公的年金保険だけでは生活できない高齢者が増えているということもよくいわれます。多くの場合、その前提になっているのは、国民年金保険をベースにした議論です。

日本の国民皆保険・皆年金制度が完成したとき(1961年)の議論を考えてみたら、国民年金保険は、自営業者の年金です。被雇用者保険(会社員、公務員、船員など誰かに雇用されている人の保険)の「適用拡大」を行い、パートやアルバイトをすべて厚生年金保険に移行すれば、この議論は大分変わっていくでしょう。

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