ゲームは、やりすぎると現実を侵食してくる 英文学教授がゲームから学んだ大切なこと
子供時代の多くを他者と関わらずに生きてきた著者だが、代わりに無数のゲームの世界を自己に取り込んで、ゆっくりとであっても、自分だけの豊かな世界を築き上げてきた。ゲームとは現実逃避なのか。そうかもしれないが、逃避した先でも人は成長、変化するのだ。逃避した先で得るものがあるのならば、それは冒険と呼ぶべきだろう(ま、これもゲームの受け売りなんだけど)。
おわりに
回顧録とはいえ、その筆致はまるで文学作品のようだ。読み終えたときに、自分がやってきたゲームに思いを馳せるのと同時に、もっとこの手のゲームと人生が混じり合った回顧録が読んでみたいという気持ちが湧いてきた。Webで読める名連載『電遊奇譚』や、書籍でも優れたゲームと人生のエッセイは出ているけれども、“ゲーム体験はみな異なる”のだから、いくら読んでも読み飽きるということがない。そうした欲望を掘り起こされた点も含めて、良い一冊だ。
最後に、本書で取り上げられていくのは主に次のゲームたち。『サスペンデッド』『バーズテイル2』『ウルティマ3』『ウルフェンシュタイン』『エリート』『パイレーツ!』『マイト&マジック2』他、ちらっと触れるものとしては『コールオブデューティ』など多数。あと、本書にたびたび名前の出て来るD&D関連としては史上最強のナード──『最初のRPGを作った男ゲイリー・ガイギャックス〜想像力の帝国〜』(←HONZ記事)もオススメの一冊だ。
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