日野の海外攻略を支える「マザー工場」の実力 知られざる大型トラックの生産現場に潜入

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日野自動車の中型トラック「日野レンジャー」。海外販売を牽引する主力車種の一つだ(写真:日野自動車)

日野自動車の国内外でのトラック総販売台数は2001年度の約5万台から、古河工場が新設された2012年度には15万台へと3倍に拡大した。2017年度は18.3万台を見込む。海外での販売の伸びが堅調であることから、同社は海外に新工場を建設するなど、現地生産拠点の拡大を図っている。

今年9月には、日本、アジアに続く「第3の柱」と位置付ける米国において、キャブなどの現地生産が可能な工場を2019年に稼働させることを明らかにした。この新工場の稼働で米国では年1.2万台の生産能力が倍の2.4万台になる予定だ。さらにこの10月、ロシアに組立工場を新設することを発表。2019年から2020年にかけて順次稼働させる計画だ。ロシア経済はここ数年、原油価格の下落やルーブル安で低迷していたが、景気の底打ち感が高まっている。拡大する商機に手を打った格好だ。

海外展開のマザー工場に

日野自動車の小梶博副社長は古河工場の生産効率をさらに高め、海外工場にも展開する考えだ(記者撮影)

日野自動車は、古河工場を「マザー工場」と位置づける。構築した生産システムや生産技術を海外工場に展開する際のモデルの役割も担う。

生産を統括する小梶博副社長は「古河工場は、従来の工場よりも生産性が約2割上がっている。ロボット化など工場の特長をより生かすことで生産性はさらに上がるはず」と自信を示す。

今年9月に本格稼働した古河工場が、マザー工場として真の実力を発揮できるかどうかが、会社の成長をも左右することになる。

高見 和也 東洋経済 記者

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たかみ かずや / Kazuya Takami

大阪府出身。週刊東洋経済編集部を経て現職。2019~20年「週刊東洋経済別冊 生保・損保特集号」編集長。

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