日野の海外攻略を支える「マザー工場」の実力

知られざる大型トラックの生産現場に潜入

数十の車型しかない乗用車に対して、トラックは約3800車型もある。その一方、1車型当たりの生産台数は少ない。「多品種少量生産」のトラックでは、モジュール化による生産ラインの一本化は当然の選択だった。

古河工場では、モジュール化により、従来車種別に3本あった生産ラインを汎用ライン1本に集約(記者撮影)

さらに、海外顧客のニーズに沿った製品を短い納期で届ける工夫として、モジュールを「コア」と「周辺」に分類。基幹・共通部品であるコア部品を古河工場で集中生産して、インドネシアやタイなどの「地域中核生産拠点」に輸出し、現地で周辺部品を調達、顧客の元に届ける体制にしている。

こうした改善により、組立工場の生産ラインにおけるリードタイム(所要時間)は従来よりも約3割短縮。モジュールをコアと周辺に分けたことで、供給リードタイムは実に約7割も短縮できたという。

キャブ溶接の自動化率は9割超え

古河工場では、キャブ溶接にロボットを積極的に導入し、自動化率を95%にまで高めた(記者撮影)

ロボット溶接技術も多品種少量生産に効果を発揮している。古河工場ではキャブを生産する際の溶接で、先端に治具(じぐ)を取り付けたロボットが活躍する。日野工場では64%だった自動化率が95%にまで引き上げられた。

常務役員の阿曽雅弘・古河工場長は「トラックでは大きく重いパネルを使うが、溶接のロボット化で、従業員の安全性も保たれる」と、効率面だけでなく、“従業員に優しい”工場であることも強調した。

最先端の技術を取り入れる一方、環境への配慮も欠かさない。古河工場ではキャブの塗装にロボットを採用しているが、塗料ミストの回収に水を使わず、炭酸カルシウムで回収することでセメントに再利用している。これにより節水や廃棄物減少の効果がある。

また、塗装を乾燥させる「ドライブース」からの排熱をリサイクルすることで、二酸化炭素(CO2)排出量を25%削減。さらに、工場の空調や照明などに自然エネルギーを積極的に活用するとともに、雨水・再生水をトイレの洗浄に利用するなどで、ここでもCO2を25%削減。トイレの洗浄に使う水は65%も削減できたという。

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