苦節10年「東京ポッド許可局」が人気の理由 自主制作から地上波へという「奇跡」
マキタ:結果論でもあるんだけど、3人の関係性が大事で、題材選びや切り口で、それぞれの得意分野が生きた。例えば、おたくのプロレスならこうなの、アニメならこんな見立てができるとか、音楽だったらこうだよとか、相互が乗り入れるような転がし方が生まれました。
タツオ:ラジオって3人の関係性のごまかしがきかない。むしろ関係性の蓄積が、その時のフリートークに出るので、利害以外の絆のある3人でやっているのが、嘘が出ないぶんいいのかなと思います。
マキタ:あと敬称を略したことですね。これは結構、勇気がいります。
鹿島:僕らは芸能界の一番外にいたから、「たけしさん」と言ってるほうが、くすぐったい気がしてたんですよ。それよりは「昨日ビートたけし見た?」というノリを大事にしました。まあ芸人の自覚としてどうなんだという話はありましたが……。
マキタ:語る内容も微妙で、ちょっと評論めいたこともやるから、「たけしさん」と言ってると、ちょっとねじ曲がっちゃうじゃないですか。だから、そこは律して敬称略でいきましょう、と決めましたね。ただ今は地上波になり、自分たちのポジション、位置が変わってもいるので、さすがに敬称をちゃんと付けますけどね。ポッドキャスト時代だからこそできたことです。
鹿島:変わった点といえばそこでしょうね。そこは僕ら3人の仕事の変化で変わったけど、他は変わってないですね。
タツオ:僕は、番組に来ると、それぞれみんなが仕事の質も変わっていくなか、地元に帰って友達に会っている感じがします。みんなそれぞれ働いているフィールドが違うから。リスナーもこの地元を応援してくれているという感じがしています。
そのまま地上波へ
タツオ:リスナーもですけど、スタッフにも愛されてる番組です。そもそも長田(ゆきえ)プロデューサーは、ずっと企画をTBSに出し続けた人。「自主制作のラジオをそのまま地上波へ」って、勇気のいることだと思うんです。さらに喫茶店で収録してたときと同じ環境も整えてくれてた。
鹿島:今、わざとBGMで流してます。喫茶店のしゃべり声を。
マキタ:番組のフォーマットは変えずに、「そのままでいいですよ」って。
タツオ:僕らに自由を残してくれたんですよ。
鹿島:そこまで理解してくれた人に出会えたのも奇跡です。2013年に地上波になったんですけど、実は、それがなかったら、もうやめようかという話になってたんですよ。お互いのスケジュール調整が、いよいよ限界にきて……そのタイミングでTBSラジオの話がきて、公式な仕事になりました。このタイミングもまさに奇跡でした!
(構成/ライター:本山謙二)
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