「オワハラ」で他社の内定辞退を強要する実態 就活生はこうして誓約書や言質を取られた

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仕方なく辞退した学生もいる。

「最終面接合格の連絡から1週間後までに推薦書の提出を求められた。提出期限を延ばして頂けなかったので内々定を辞退した」(長崎大学、理系)

またオワハラが逆効果になった事例もある。

「就活の終了を迫られる。面接でさんざん第一志望と伝えたにも関わらず、しつこい。結局辞退しようと考えている」(早稲田大学、文系)

売り手市場の中、こうした話は痛手だろう。「過ぎたるは及ばざるが如し」と言うが、オワハラもやりすぎると学生の気持ちを離反させる。一方で図太くたくましい学生もいる。

「6月1日の内定者懇談会にて、承諾書にサインと印鑑を押し、今後就活をしないことを約束しました。実際はその後も気にせず就活をしていました」(大妻女子大学、文系)

ただしすべてのオワハラが問題になるわけではない。

「就活中の企業すべてにその場で連絡してくださいと言われた。第1志望だったので問題なかった(あとから特別に1枠を私のために増やしてくださっていたと伺った)」(関西学院大学、文系)という学生は、第1志望の企業が特別に1枠増やしてくれたことに満足している。

学生の思い違いというケースも​​​​​​?

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さらに親切な人事担当者もいる。

「最終面接では就活を終わらせるように言われたが、人事の方には納得がいくまで続けてもいいと言われた」(お茶の水女子大学、理系)

「6月1日に“内々定”と言われたが、他社の選考を続けたい旨を伝えても、期限を設けてそれまで待ってくれたため」(京都大学、文系)という対応をする企業もある。こうした企業に対して学生の志望度はきっと高まったことだろう。

学生のコメントを読むと、オワハラは特定業界に偏っているわけではなく、全業種で行われている。しかしその内容はさまざま。中には学生の勘違いと思えるコメントもある。

「約1週間の期限のうちに内定を受けるかどうか決めるように言われた」(筑波大学、理系)という学生もいるが、内定を出すために学生の意思を確認するのは順当である。「内定を受けるかどうかを企業に迫られた」と書けばオワハラに聞こえるが、企業はその学生に入社の意思を確認しているのだ。「入社する意思が無いと内定を出さない」(大同大学、理系)とコメントしている学生もいるが、採用側から見れば、入社する気がない学生に内定を出す必要はないのだから、当然のことといえるだろう。

オワハラの背景には、非常識で高飛車な企業の存在もある。しかし、過剰反応もかなり多いように見える。

複数の内定を獲得する就活生も多いが、大学受験の”すべり止め”とは違う。入社してくれる前提で、会社側が多くの候補者の中から内定者を選んでいることを認識すべきだろう。

佃 光博 HR総研ライター

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つくだ みつひろ / Mitsuhiro Tsukuda

編集プロダクション ビー・イー・シー代表取締役。HR総研(ProFuture)ライター。早稲田大学文学部卒。新聞社、出版社勤務を経て、1981年文化放送ブレーンに入社。技術系採用メディア「ELAN」創刊、編集長。1984年同社退社。 多くの採用ツール、ホームページ製作を手がけ、とくに理系メディアを得意とする。

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