そんな状況に警鐘を鳴らしたのが、就職関係者や大学教授らがメンバーに名を連ねる、NPO法人DSS。彼らは、YouTubeに解説動画をアップし、話題となった。そして一気にオワハラという言葉が一般化した。
解説動画はオワハラを次の4パターンに分類している。
2. 就活の終了を言質や書類提供を強要し、他社の面接を受けることや、内々定を辞退することへの精神的な圧迫を感じさせる行為
3. 選考期間・選考時間・選考頻度を必要以上に多く設け、拘束的なイベント等で他社の選考を受けさせないようにする行為
4 リクルーターなど今までの関係性を必要以上に強調し、内定承諾や就活の終了を強要する行為
実際に学生が体験したオワハラについては後で紹介する。
優秀学生に対するこのような囲い込みは昔からあった。バブル期の話では、クルーズ船による内定者旅行。当時は携帯電話を持つ学生はおらず、海上から他社に連絡することも面接に出かけることもできない。少しスケールは落ちるが、会社訪問解禁日、ボーリング場を借り切ってのボーリング大会もあった。
クルーズ船やボーリング場を使った大規模な囲い込みは、バブル期だけの現象だが、何度も学生を呼び出したり、社員との懇親会を開いたりすることは、昔から行われていた。そもそもそうした囲い込み自体、「よくあること」だと考えられていたのだ。
オワハラ経験は文系27%、理系17%
企業の採用活動は学生を選び、学生の就活は企業を選ぶ。互いが合意して内定になるのだから、それ以降に他社への就職活動を継続するのは、”二股”をかけることになる。企業がある程度の「約束」を学生に求めるのも当然だろう。
が、2016年新卒採用では、学生に求めていた約束が脅しに近づいて行き過ぎた状況になったため、オワハラと命名されたわけだ。
ただ、選考解禁が8月1日以降とされたのは、2016年新卒採用だけ。2017年新卒採用から2カ月前倒しされて6月1日以降になり、2018年卒新卒採用も同じスケジュールだった。採用戦線が落ち着けば、オワハラも減るはずだが、本当に減ったのだろうか?
HR総研は毎年6月末に楽天「みんなの就職活動日記」と共同で就活生に対するアンケート調査を行っている。そこで「オワハラを受けていると感じたか」「あったとしたらどんな内容か」という質問を行っている。
この3年間の数字は、文系が、2016年卒28%→2017年卒23%→2018年卒27%、理系が、2016年卒19%→2017年卒17%→2018年卒17%と推移している。ここでわかるのは、オワハラと感じる就活生は、理系よりも文系の方が10ポイントも多いということだ。
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