日本人が知らない「ゴアテックス」強さの秘密

アイコン化した強い組織の研究<3>

WLゴアは革新的な大動脈用の移植皮片を開発した

結果が生み出す利益を共有する立場

ビル・ゴアは1986年に亡くなったが、目標は達成されたようだ。創業から50年以上が経っているが、同社にはいまだに官僚主義や支配層は見られない。たとえばリーダーは指名されるのではなく、ついていく人がある程度いれば、自然と立ち上がる。CEOであっても、例外ではない。「候補者のリストさえなかったわ。会社のなかで、誰でも好きな人を選んでよかったの」。同社のCEO、テリー・ケリーは言う。「まさか、自分が選ばれるとは思わなかった」。

このシステムは、非常にうまく機能しているようだ。組織が革新的かつ選択的であることにも役立っている。「何かをしようとするのに、一定の人たちを説得できないようなら、そもそも、そんなにいいアイデアではないのかもしれない」と、被膜の専門職のジョン・バチーノは言う。こうして同社には、一種の革新的な民主主義ができあがっている。ただし投票するのは専門知識を持つ人たちで、結果が生み出す利益を共有する立場にもある。

同社のもうひとつの特徴は、どの支社にも、200人以上は従業員がいないことだ。これ以上の人数になると、分割していく。ビル・ゴアはこういう言い方をしていた。「増殖するためには、分かれなければならない」。少人数でいることが、「彼らが決めた」という感覚を避け、「私たちが決めた」という感覚を保つ唯一の方法だと考えていたのだ。そうすれば、全員が責任感を持つ。

責任感の考え方は、財務管理にも適用され、従業員は同社の株を保有することになっている。数年が経つと全ての従業員――「アソシエイト」と呼ばれている――は給与の約10パーセントをゴアの株という形で受けとるようになるのだ。この制度は、はっきりと効果が現れているという。「計画について議論するとき、私たちはいつでも株主価値のことも話題にします」。従業員のジョン・ケネディは言う。

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