日本人が知らないフランスで進む社会の分断 地中海リゾート地がイスラム過激派の温床に

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さらには、2015年11月にも、マルセイユの地下鉄駅の出口でベールを着用したイスラム教徒の女性が殴られて刺される事件が起きたほか、同じ日には、ISのロゴが描かれたTシャツを着た男ら3人がユダヤ人学校の教師を刃物で襲撃し、負傷させる事件が起きた。

同じく2015年11月に発生したパリ同時多発テロの実行犯のサラ・アブデスラム容疑者も、マルセイユの港でテロを起こす計画を練っていた。イスラム過激派の温床となるネットワークをマルセイユの地に持っていたのではないかと指摘されている。まさに挙げればきりがないほど、テロや未遂事件が発生するなど、治安の悪化も進んでおり、不安の念を募らせる住民も増えている。

ドラッグの密売が盛んに

実は、筆者がマルセイユ市内に宿泊した際、暑かったので窓を開けて寝ていたら深夜3時ごろに何やら外が騒々しい。様子をうかがうと、2人の男性が狭い路上に大きな車を止めて、トランクからスーツケースを2つ出していた。

それを、雑居ビルのような古びたアパートの入り口で、住人と思しき男性に渡して再び車に戻っていった。とりわけ楽しげに会話を交わした様子もなく、極めて事務的な手渡しで終わったその一部始終にわずかな疑問が残り、翌日宿のオーナーに聞いてみると、ビクッとする答えが返ってきた。「このあたりはドラッグの売買が盛んなんだよ。白昼堂々とやるケースなんかもあるらしい。治安はだいぶ悪くなってきたね」

目撃した深夜の出来事は単に、何かの事情で大きな荷物を預けただけなのかもしれない。それに、夜間に市内を歩いた際、ほかのフランスの街に比べてもたむろする若者や物乞いする路上生活者の多さなど極めて治安の悪い様子を見てきたからか、必要以上に警戒心が湧いていただけかもしれない。

街中には北アフリカ系の移民の姿が目立つ(写真:筆者撮影)

だが、そのオーナーの言葉が気になってインターネットで調べてみた。すると、マルセイユでは近年ドラッグ中毒者が増え、密売も行われているとの記事をいくつも見つけた。

帰国後数カ月してから、日本の報道番組でもマルセイユでまさにドラッグの密売人らがたむろしている現場を押さえた緊迫の映像が放映されていた。番組内でもマルセイユ市民が、ドラッグ密売が増えていると証言。とあるマルセイユで生まれ育った一家はそうした治安の悪化が原因で、移民との間に溝ができていると話していた。

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