オラクル会長が明かす「アマゾン迎撃」の秘策 世界初「自律型データベース」とは何か

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巨人オラクルにも絶え間のない技術革新が求められている(記者撮影)

言うまでもなく、データベースはオラクルにとって市場で圧倒的なシェアを誇る「ドル箱」事業。その牙城にまで迫るAWSを、新製品である自律型データベースの投入で牽制したいという意図も見え隠れする。

「エリソン節」で会場を沸かせる

講演では何度もアマゾン製品に対する優位性を言葉で訴え、「アマゾンはオラクル(のデータベース)に昨年6000万ドル(約67億円)費やした最大の顧客の一つ」とのスライドも示したエリソン会長。

「アマゾンの(データベースの)半分以下のコストを保証する。契約書の中にそう書いてもいい」との冗談めかした発言も飛び出し、最後には自ら「オラクルのデータベースVSアマゾンのデータベース」の処理能力を比較するデモを行った。処理速度とコストの両方でアマゾンに上回ることを「実演」し、ガッツポーズまで披露。事前に多くの人が予想した「エリソン節」とはいえ、その姿に観衆は大きな盛り上がりを見せた。

ただ、「アマゾンも対抗策を取るのではないか」、「アマゾンとの比較のデモは詳細な前提条件がよくわからない」との冷静な見方ができるのも事実。はたして観衆を沸かせたエリソン節の通り、顧客企業にメリットをもたらすのか。それを証明するのは、2017年12月に発売が予定される自律型データベースの実力しかない。

島 大輔 『会社四季報プロ500』編集長

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しま だいすけ / Daisuke Shima

慶応義塾大学大学院政策メディア研究科修士課程修了。総合電機メーカー、生活実用系出版社に勤務後、2006年に東洋経済新報社に入社。書籍編集部、『週刊東洋経済』編集部、会社四季報オンライン編集部を経て2017年10月から『会社四季報』編集部に所属。2021年4月より『会社四季報プロ500』編集長。

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