星野リゾートが「大塚駅北口」に進出する真意 新ブランド「OMO」が担う都市観光戦略とは?

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星野リゾートが都市に立地するホテルの運営に乗り出す意味合いは大きい。同社が得意としてきた地方のリゾートや旅館の運営では、マーケティングや情報発信を駆使して、観光客に来てもらう理由を作る必要があった。

地方のグランドホテルで好パフォーマンスをあげれば、さらなる運営受託の機会が増える。星野佳路氏は会見で「チャンスが増える」と意気込んだ(記者撮影)

それに対して都市部には、もともと膨大な観光需要がある。旭川グランドホテルの運営に成功すれば、星野リゾートが受託する「案件は劇的に増えるだろう」(星野氏)。

実際、水面下で星野リゾートは着々と都市進出の準備を進めている。2016年7月には千代田区大手町に「星のや東京」を開業。来年5月に控える「OMO5 大塚」以外にも、今年6月に、ホテル「ザ・ビー 東京 赤坂」建物の信託受益権を取得している。

帝国ホテルの背中も見えてきた

星野リゾートREIT投資法人の有価証券報告書によれば、星野リゾートグループの2016年11月期の決算は、売上高に当たる営業収益が511億円(前期比62%増)、経常利益は31億円(同25%増)に達した。

会社側は営業収益の大幅な伸びについて「所有者の変更により、施設の入れ替わりがあった。弊社が運営していない施設も入っており、一時的な要因で売上高が膨らんでいる」と説明する。

星野リゾートが運営している施設全体の取扱高は459億円(前期比4%増)、直近で運営施設は37軒に達した。規模ではすでにパレスホテル(売上高304億円)や大阪のリーガロイヤルホテルの運営会社(同411億円)を抜き、帝国ホテル(同560億円)の背中も見えてきた。

このまま成長路線を維持するには、旭川を始め、都市観光ホテルを軌道に乗せる必要がある。果たして目論見通りに結果を出せるのか。

松浦 大 東洋経済 記者

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まつうら ひろし / Hiroshi Matsuura

明治大学、同大学院を経て、2009年に入社。記者としてはいろいろ担当して、今はソフトウェアやサイバーセキュリティなどを担当(多分)。編集は『業界地図』がメイン。妻と娘、息子、オウムと暮らす。2020年に育休を約8カ月取った。

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