1泊15万円!「滞在するレストラン」の勝算 ひらまつ、ホテル事業に100億円超を投資へ
「今後3年のキャッシュフローを計算しても、ホテルを立てるのに100億円足りない。借入金も膨らんでいるので、さまざまなスキームで資金調達していく」――。
高級フランス料理店「ひらまつ」や高級イタリア料理の「リストランテASO」などを展開する、ひらまつ。
5月中旬に開いた決算説明会で服部亮人副社長は、アナリストや銀行関係者を前に、そうブチ上げた。
注目の稼働率は平均60%
レストランで著名な同社が今、力を入れているのが、ホテル事業の育成だ。2016年7月に自社ブランドとしては初めて客室数8の「ひらまつホテル&リゾート 賢島」(三重県志摩市)を開業。続いて、10月には同ブランドで熱海(13室)、12月末には箱根仙石原(11室)と、一気に3軒を開業した。
いずれも1泊2食付き(2人利用)で、14~18万円程度と高めの値段をつけている。開業から1年に満たないが、「すでに賢島には2~3回訪れたというリピーターや、夏休みには1週間連泊の予約をした顧客がいる。熱海では海外客による全館貸し切りもあった」と、ひらまつの陣内孝也社長は自信を深めている。
会社側はホテル事業の業績については開示しなかったが、現状の平均稼働率は60%程度で、今期はメディア露出や知名度の向上を追い風に、75%を目指すと説明した。
ひらまつは昨年6月に代表権を返上した平松博利会長が、1982年に西麻布に開いた、「ひらまつ亭」が発祥となっている。高級レストランや、売上高の4割近くを占める婚礼事業を強みに業績を拡大した。
2003年に上場してから売上高は2ケタ近い伸び率を維持していたが、リーマンショック後は成長が鈍化している。
そこで新たな成長の柱として期待するのがホテル事業だ。2016年3月期の決算説明会で、小型の高級ホテルを15~20軒、50室規模のリゾートホテルを5軒、50室規模の都市型高級ホテルを3軒開業し、10年内に売上高で300億円をたたき出すという、野心的な計画を掲げていた。
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