36歳社長が変身する「かめライダー」の正体 創業60年超えた福岡の自動車教習所が大変貌
当初、教習生の満足度は高まったものの、入校者数そのものはさほど変わらなかった。改革によって仕事量は増えたのに、成果が見えない現状に不満を抱いた社員が、ぽつぽつ辞めていく。かめライダーの登場後は「50万もかけてかめライダー作るより、給料上げてくれよ」といった愚痴が一気に噴き出し、退職の連鎖が広がった。新しい人事や評価制度への反発もあり、結局3年間で社員100人中47人が退職したのだ。
「辞める人がいるのは想定内でしたが、社員や親族の批判にさらされ続けるのは苦しく、ごっそり髪が抜けたり精神安定剤や睡眠薬を手放せない時期もあった。でも、心を鬼にして進むしかなかった」(江上社長)。
社内の改革チームをはじめ、江上さんを信じてついてきてくれる社員が心の支えになったという。理念に賛同して入ってくる新入社員も頼もしかった。退職ドミノが落ち着くと、定期的に社員を集めて面談をしたり、個別に食事に行くなど、密にコミュニケーションをとることで課題を少しずつ改善していった。
学科教習用のCGアニメが教習生の感動を呼ぶ
そんな中、入校者を増やすには主軸の「学科や技能教習を面白くすること」が重要だと気づいた。そこで、学科教習の冒頭にクイズや脳トレの要素を入れたムービーを流したり、かめライダーが交通ルールのユニークな覚え方を教えるムービー「俺の暗記道場」を開発したりした。「交通ルール」にまつわる謎を数人で解いていくグループワークなども組み込んだ。
さらに、今年2月には学科教習用のCGアニメーション「DON!DON!ドライブ」を導入。ホリエモンこと堀江貴文氏などと共同で手がけた作品で、脱力系キャラと共にクイズ形式で交通ルールを学ぶことができる。
思わず笑ってしまう仕掛けが盛りだくさんだ。教習に注力したことで、教習生アンケートの満足度が大きく上がり、「卒業したくない」というメッセージまで届くようになった。入校者数は増え、危機的だった2014年度を底として毎年、増収増益を続けている。
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