これらの数字を使って、A社の平均入社難易度を求めてみよう。
(東京大学69.8×5人+慶應義塾大学65.1×3人+上智大学63.0×3人)÷(5人+3人+3人)=66.6666になる。小数点第2位を四捨五入すると、A社の入社難易度は66.7だ。
就職判明者が10人以上の企業に絞ってランキングしたのが各表である。一部の大学が回答していないため、採用者すべての出身大学が判明しているわけではない。しかし、企業の採用総数がわかっている企業に占める、大学別就職者の判明率は8割を超えている。
では企業別の表を見ていきたい。トップは集英社の65.0。2位が三菱地所の64.8、3位が講談社の64.6、4位が富士フイルムの64.4、5位が三菱商事の64.2、という順となった。
出版や不動産、総合商社が上位
あきらかに出版社は、難関大学から多く採用している。3大出版社のもう1社の小学館も62.0で38位だった。出版不況と言われ、学生の人気企業ランキングの上位にはかつてほど出てこなくなったものの、出版物に子どものころから慣れ親しんできたこともあり、まだまだ根強い人気がある。
2位の三菱地所をはじめ、不動産会社もトップ10に2社入っている。7位の三井不動産は64.0だ。出版社と同じく採用人数が少ないため、難関大学の採用が多いと、高い値になると見られる。難関大学の学生の中には、大量採用の企業よりも、同期の顔が見える採用の少ない企業を好む傾向もあるという。
採用者が比較的多く、今年の就活で人気が高かった総合商社も、上位に入った。5大商社の中で、トップ10に入ったのは、64.2で5位の三菱商事、64.0で7位タイの伊藤忠商事、63.9で9位タイの住友商事の3社だ。丸紅は63.5で11位、三井物産は63.2で16位だった。業績好調の伊藤忠商事の評価が高い。ただ、5社中トップの三菱商事と、最下位の三井物産の難易度差はわずか「1.0」だ。人気業種だけにどこも難関ということになる。
また総じてマスコミの入社難易度が高いのも特徴だ。テレビ局はテレビ東京が63.3で13位、テレビ朝日とTBSテレビが63.1でともに19位、日本テレビ放送網は62.3で28位、NHKは62.1で34位、フジテレビジョンは61.2で59位などとなっている。番組の視聴率が急伸するテレビ東京がトップで、苦戦するフジテレビが最下位と、東京キー局の中での勢いがこのランキングにも反映される結果となった。
新聞社・通信社も上位である。64.1の日本経済新聞社が6位、63.2の朝日新聞社が16位、62.1の共同通信社が34位、61.8の読売新聞社が46位、61.5の時事通信社が54位などとなった。いずれも60を超える入社難易度となっている。新聞社も近年、学生の人気企業ランキングの順位は、高くはない。
企業の採用支援を行っているワークス・ジャパンの清水信一郎社長は「集英社がトップというのは、出版希望者は3大出版社を必ず受けるといってもいいほどで、記念受験も多いと思われ、応募者が多いことから入社は難しくなるのでしょう。またマスコミは、まず筆記試験がありますから、人物本位の採用といっても、この試験を通過しないことには、面接などに進めません。結果として試験に強い難関大からの採用者が多くなるのでは」と分析している。
トップである集英社の入社難易度65.0は、どこの大学に当たるのか。平均難易度が65を超えている大学は7校しかない。東京大学のほかに、国際教養大学(67.7)、一橋大学(66.5)、京都大学(66.3)、国際基督教大学(66.0)、慶應義塾大学と早稲田大学がともに65.1だ。こういった大学からの採用が中心ということになる。
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