一方、学生に人気の高い銀行を見てみよう。67位の三井住友信託銀行の60.9がトップ。メガバンクでは三菱東京UFJ銀行が182位の58.6で、かろうじて200位以内だった。メガバンクは採用人数が1000人を超えるため、さまざまな大学から採用していることがわかる。ただ、入社難易度58.6といっても、これを上回る大学は32校だけ。大学は日本国内に約780校あり、難易度が上位の大学から多く採用しているようだ。駿台教育研究所進学情報事業部の石原賢一部長は次のように語ってくれた。
「文系の学生を中心に採用している企業が上位で、理系の学生を中心に採用しているメーカーなどが低くなっています。メーカーは採用者が多いので、地方国立大からも採用します。地方国立大の工学部は難易度が高くないため、入社難易度は高くなりにくいのかもしれません」
業種別のトップは石油・鉱業
業種別の入社難易度を見てみよう。ランキングの対象となる企業が4社以上の業種だけを取り上げているため、業種としては表に出てこないところもある。ガス、造船、倉庫などが対象外となっている。
業種ランキングのトップは石油・鉱業。対象社数は4社だけと少ないが、13位で63.3の国際石油開発帝石、16位で63.2のJXTGエネルギー、44位で61.9の昭和シェル石油、86位で60.4の出光興産が入り、すべてトップ100に入った。前出の清水社長は「石油・鉱業は、多くが国策会社だったという経緯から、旧7帝大からの採用が多く、給与水準も高いので人気です」という。
2位以下は放送、新聞、広告、出版、商社の順となった。ここまでが入社難易度60を超えている。マスコミ関連業の難関ぶりがわかる。次いで化学、ゴム・ガラス、通信、機械・機器と続く。そもそも412社の平均入社難易度も57.0とかなり高い。平均難易度が57.0以上なのは48大学に過ぎない。有名企業による採用は上位大学の寡占状態であることが間違いないようだ。
子どもを人気企業に入社させたいと思うのであれば、やはり難易度の高い大学に進学させた方が有利ということなのか。もちろん、そこに進学したから、全員がこういった企業に入社できるわけではない。少子化の影響から、外国人の採用も一般化してきており、大学進学後もしっかり学び、自分を磨いていくことが大切だ。昔のように、大学に進学したから就職は安泰、という時代はとっくに終わっている。
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