ドイツの高級新聞社が挑む「分断社会の是正」 メディアの力で社会の両極化は止められるか

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「地方で起きていることを全国の読者に向けて書く――これがジャーナリズムの実験としては今年最大の成功だった」

両極端な意見を持つ人同士を結ぶ

欧州に急増する難民・移民を助けるため、アンゲラ・メルケル独首相は2015年以降、100万人余の難民を受け入れてきた。これほどの規模の難民を受け入れたことで、ドイツ国内では支持派と不支持派の流れができた。

ドイツ下院選で、メルケル首相率いる保守勢力から票を奪ったのは、反移民・反イスラム教を明確に打ち出すAfDだった。

社会の両極端化・分断化をなくすためにツァイト・オンラインがD17プロジェクトを通して実践したのが、「ドイッチェランド・シュプレヒト」(「ドイツ、語る」の意味)である。互いに両極端の意見を持つ人をマッチングさせる仕組みだ。

5月、ツァイト・オンラインは読者に複数の質問を投げかけた。「ドイツの難民受け入れ数は多すぎると思いますか?」「西欧諸国はロシアを公平に扱っていると思いますか?」など、「はい」または「いいえ」で答えられるような質問である。4週間後、約1万2000人の読者が回答を送ってきた。

回答者が実在する人物であることを確かめた後、「質問に対して正反対の回答をした人で、互いにそれほど遠くない地域に住む人」を選び、2人組のカップルを作った。

「相手に会って、話し合ってみてほしい」と依頼したところ、600組がこれに応じた。

大規模な「お見合い」が、6月18日にドイツ各地で行われた。ツァイト・オンラインが会話の様子を撮影した写真を送ってほしいと頼み、続々と写真画像や感想を述べるメールが送られてきた。「とても貴重な体験だった、楽しかったと言ってくれた。話し合いの後に、友人同士になったという人もいた」(ファイグル氏)。

ツァイト・オンラインの特設画面には読者から送られてきた数々の写真が掲載されている。ファイグル氏が個人的にこのプロジェクトで最も興味深く感じたのがこの「ドイツ、語る」だという。

「ドイツ、語る」のコーナーには読者から送られてきた写真が掲載されている(ツァイト・オンラインのサイトより)
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