政党の企業化で日本の民主主義は危機状態だ

政治家になりたい者の救済組織でしかない

小選挙区比例代表並立制を柱とする政治改革関連法が成立すると、新党の動きは、政治改革が目的とする二大政党制を実現するための非自民勢力の結集という方向に向かった。誕生した政党は新進党であり民主党だった。1994年に結党した新進党には細川政権を支えた多くの政党が結集し、議員数では自民党に対抗しうる政党となった。しかし、1996年の総選挙で政権交代に失敗するとあえなく解党してしまった。そして、その受け皿となったのが民主党だった。

一方でこの時期、政治改革によって現職議員5人以上集まれば政党交付金を受け取ることができるという総額300億円の政党交付金制度ができて、これを使った便宜的な政党が数多く生まれた。制度の本来の趣旨を逸脱した政党作りであるが、議員にとっては5人集まるだけで莫大な資金を得ることができる魅力的な制度だ。制度が徐々に政党を変質させていったのだ。

政党交付金制度によって乱立、浮動票目当てに

2009年に誕生した民主党政権がわずか3年で崩壊すると、政治改革が目指した「政権交代可能な二大政党制」の実現は夢と消えてしまい、新しい形の新党が続々と登場し始めた。それが「企業化新党」である。民主党が求心力を失い存在感がなくなる一方で、野党の多党化と保守化が一気に進んだ。

この時期の新党の一部を上げると、「みんなの党」(2009年、渡辺喜美)、「たちあがれ日本」(2010年、平沼赳夫)、「日本維新の会」(2012年、橋下徹)、「結いの党」(2013年、江田憲司)、「太陽の党」(2012年、石原慎太郎・平沼赳夫)、そして今回の「希望の党」(小池百合子)である。

これら新党の特徴は、まず党首の知名度や人気が高く典型的な「パーソナル・パーティ―」であることだ。社会の特定の集団や階層を代表してはいない、つまり支持団体や支持組織がない。おのずと浮動票目当てとなる。また、メンバーが共通の国家観や思想、信条を持っているわけでもない。党首の人気にすがって議席を得ようという人たちの集まりである。かつての新進党や民主党のように自民党に対抗する二大政党制を目指しているわけではない。したがって最初から長続する政党ではない。つまり政党としての同質性、持続性、安定性はなく、実際に多くの新党が短期間で分裂したり解党している。

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