政党の企業化で日本の民主主義は危機状態だ 政治家になりたい者の救済組織でしかない

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党首の人気、支持率頼みの政治家がはびこり、政治の質は劣化するばかりだ(撮影:尾形文繁)

選挙制度の見直しや世論調査の再考が必要だ

どうすれば政党の企業化に歯止めをかけることができるか。打開策は限られている。最も効果的な手段は、衆院の選挙制度を見直して小選挙区と比例代表の重複立候補制度や復活当選制度を廃止することと、5人集まると政党を認めるという政党交付金制度の見直しであろう。これだけでもかなりの効果が期待できるだろう。

またマスメディアの行う世論調査のありかたも再考すべきだろう。冒頭に触れたニクソン大統領は次のようなことも指摘している。

「今の政治家はフルギャラップ(full gallop、全力)ではなく、フルギャラップ(full gallup、世論調査べったり)、支持率の上下に一喜一憂しすぎる。支持率の行方に追従する政治家は、当選はできても、偉大な指導者にはなれない」

世論調査の科学性が問われているにもかかわらず、はじき出される数字が神様のご託宣のように扱われ、それにすがって新党が作られては消えている。そこから脱却できなければ、「政党の企業化」はますます進行するだろう。

薬師寺 克行 東洋大学教授

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やくしじ かつゆき / Katsuyuki Yakushiji

1979年東京大学卒、朝日新聞社に入社。政治部で首相官邸や外務省などを担当。論説委員、月刊『論座』編集長、政治部長などを務める。2011年より東洋大学社会学部教授。国際問題研究所客員研究員。専門は現代日本政治、日本外交。主な著書に『現代日本政治史』(有斐閣、2014年)、『激論! ナショナリズムと外交』(講談社、2014年)、『証言 民主党政権』(講談社、2012年)など。

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