政党の企業化で日本の民主主義は危機状態だ

政治家になりたい者の救済組織でしかない

「55年体制」時代は新党の結党は難しかった。それを可能にしたのが政治改革だ。まず、政党交付金制度を利用することで、簡単に莫大な選挙資金を手に入れることができる。また衆院の小選挙区制と比例代表制の重複立候補制度と復活当選制度によって、小選挙区での当選が難しくても、比例区で一定の議席を獲得することが可能になった。それを利用して小選挙区に立候補者を擁立するのである。特に自民党から立候補できない保守系候補が、人気者を党首に担いで結集するというケースが目立つ。

また、マスメディアや有権者が、「企業化新党」の登場を面白がり、はやしたてることも大きな問題であろう。特にマスメディアが行う人気調査のような世論調査結果が、有権者に対する同調圧力となり、結果的に一過性のブームを作り、選挙結果に大きな影響を与えている。

政治家の質は劣化し、国民を侮蔑した行動に

「企業化新党」の乱立は決して政治全体にいい影響を与えてはいない。まず新党の乱立が結果的に自民党政権を延命させている。特に小選挙区選挙での候補者乱立が自民党を圧倒的に有利にしている。また一部保守系新党は自民党の政権運営に実質的に協力しており、「野党的野党」ではなく「与党的野党」となっている。それは政治空間における保守勢力の拡大を意味しており、この数年間、明らかにかつてのリベラル勢力あるいは左派勢力が衰退している。

政治家の劣化を加速させたことも否定できない。政党の重要な役割の一つに次の時代を担う政治家の教育、育成がある。しかし、短期的利益追求を目標にした新党に政治家育成を期待することはできない。その結果、国家のグランドデザインなど統治に無関心な政治家が乱造されている。

そして、「企業化新党」が選挙で頼りにしているのが「世の中の空気」「潮流」「党首の人気」である。確たる信念をもって国民に政策を訴え理解を求めるなどというのは、彼らにとってはきれいごとにすぎない。有権者の支持を得るためならなんでもする。「バラマキ政策」を掲げても、その財源への言及はご法度である。有権者に受けのいいことばかり並びたてて支持を得ようという発想の裏にあるのは、「この程度のことを言っておけば、喜んでくれるだろう」という国民に対する侮蔑意識である。そして、こうした政治の行き着く先がどうなるかは容易に想像できる。

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