ラスベガス乱射で露呈、高級ホテルの「盲点」 接客業界のセキュリティ体制はゆるいまま
自国のホテルが攻撃対象になったことがあるエジプトやインドネシア、イスラエルなどの国では、警備戦略ははるかに極端で、時には顧客にかなりの協力を求めるものとなっている。
テロなどが接客業界に急速な変化をもたらしているのが、インドである。2008年、テロリストがムンバイにあるダウンタウンのホテル2つを爆破し、周辺のほかの場所も攻撃、人質をとりながら100人以上を殺害した。
これを機に、大手ホテルチェーンのマリオットやタージ、アコーなどは爆発物探知機や、X線システムをインド中で導入した。ニューデリーにある高級ホテルのレモンツリープレミアホテルは、敷地に近づいた人物を識別する顔認識ソフトを設置した。
ホテルは容易なターゲット
今回の件について、MGMリゾーツ・インターナショナルが運営するマンダレイ・ベイはコメント要請に応じていない。
警備員の給与の問題もある。ストーバー氏によると、大手ホテルでも、警備チームは人数が少ないうえ薄給で、宿泊定数1000人に対してせいぜい2~3人程度しか雇われていない。世界中のホテルのデータを集めるSTRのシニアバイスプレジデントのジャン・D・フレイタグ氏によると、結果的にホテルは「今までもこれからも容易なターゲット」になるという。
業界団体のアメリカン・ホテル&ロッジング協会(AHLA)のキャサリン・ルーガーCEOは、「ホテルには、安全・セキュリティのための運用手順があり、これは定期的に見直され、改正されているし、緊急用の手順もある」との声明を出した。「今後も警察と協力体勢をとり、手順を査定していく」。