捨てるものは捨てコンビニの原点に戻る--中村元彦サークルKサンクス社長

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捨てるものは捨てコンビニの原点に戻る--中村元彦サークルKサンクス社長

2004年、業界初の大手チェーン同士の合併で誕生したサークルKサンクス。店舗数は6000店超(エリアフランチャイズ含む)と競合大手と肩を並べ、スケールメリットを手にしたはずだった。

だが同社を待ち受けていたのは、合併に伴う痛みだった。合併作業に多大な労力を費やし、赤字店閉鎖による店舗数の純減が続いた。業績面でも07年2月期以降2期連続で減益となるなど、トップ3チェーンと大きな差が開き始めている。

合併から約4年。商品や物流などの統合をようやく終え、同社は新たなステージに入る。船頭役となる中村元彦社長は、何を変え、どう合併の果実を生み出すのか。話を聞いた。

--社長就任から1年が経過しました。サークルKサンクスの現状をどう認識していますか?

この5年でコンビニエンスストア業界を取り巻く環境は激変しました。つくづく感じるのは、今までと同じではいかんということです。

まず、収益モデルが変わりました。たとえば、業界が始まった当初のFC(フランチャイズチェーン)契約は「Aタイプ」といい、加盟店がすべての経費を負担し、低いロイヤルティで運営するのが主流でした。現在の主流は「Cタイプ」、本部が賃料や改装費なども負担して、加盟店からその分高いロイヤルティをもらうシステムに変化しています。

本部の負担が多いCタイプのお店に30台収容できる駐車場があるとします。加盟店側は広いほどメリットが出ますが、本部側からすれば、はたして30台の駐車場が本当に有効利用されているのか。このような問題がたくさん起きてくるわけです。

だから、もう一度店舗の「質」を重視していこうじゃないかと。駐車場は店舗開発の例だけれども、商品や運営など、あらゆる面で変わらなければならない。1円の売り上げも大事ですが、1円の利益のほうが大事ということです。

今いちばん歯がゆいのは、「捨てる」ということ。外国人の店員が増えているので研修体制を整えようとか、そういった「新しい提案」は各部署からいくつも上がってくる。しかし、「捨てるための提案」は一つもない。それは業界が30年間伸び続けてきたからです。私を含め、成功体験はなかなか捨てられない。

店舗システムにしても、つねに使っているデータが全体の3~4割だとすると、残りのデータは本当に必要なのか。データにも費用がかかることを認識していなかったわけです。収益モデルが変わったなら、今までのルールは通用しない。だから捨てるものは捨てて、運営面でコンビニエンスストアの原点に回帰するべきだと考えています。

もっと具体的に言えば、いかにして売れ筋上位の商品を数多くそろえるか、売り上げを増やすために、どれだけ広告宣伝を打ち、仕入れを増やさなければならないか、といった費用対効果をつねに意識することが必要です。

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