捨てるものは捨てコンビニの原点に戻る--中村元彦サークルKサンクス社長

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--今年3~5月の既存店売上高は大手4社の中で唯一前年割れとなるなど、なかなか成果が見えません。

確かに、競合に比べると3ポイントほど低い。どういう理由ですかとよく聞かれますが、私はすべてだと思っています。

たとえば、暑い日に私が店舗を回ってみると、冷やし麺とおにぎりだけがなくなっている店があります。商品の廃棄量が増えているため、発注を一律に抑えてしまい、天候など条件に合った売れ筋商品が確保できていません。徹底力が弱いんです。開発面では、新店1日当たりの売り上げが下がっていたし、商品開発面も統合作業に時間をとられました。数字が悪いのは今の実力からすれば当たり前でしょう。

あれもこれもと手を出していた部分を切り捨て、具体的に何をするのか、徹底的に絞っていきます。半年や1年ですぐ効果は出ないかもしれませんが、今後は既存店も「質」を重視していきます。

--合併がサークルK主導で進んだため、サンクスの強みだった冒険的な商品開発が弱まったのでは、という指摘もあります。

そのとおりです。旧サンクスの「こんなことまでやるのか」という面が薄れてきた。だからもっと冒険して、挑戦して、遊べと言っています。個々にはネクタイを模した「ネクタイパン」など、魅力ある商品も出てきている。今後も、物まねではない独自商品の開発に取り組んでいきます。

--入社から一貫して営業畑です。社長に就任してからも、営業重視の姿勢は変わりませんか?

営業に軸を置く姿勢は今でも変わりません。少し変わったとすれば、つねに2~3年先を見越して行動しなければならないと思っている。それに加えて、徹底的にムダを排除するため、細かい点にも文句をつけるようになりました。

たとえば、社員の研修費用や交通費の使い方などもそうです。なかなか難しいところだけれど、トヨタさんのように、絞ってもムダがまったく出てこないわけじゃない。それが唯一の救いです。これからのコンビニ業界は、収益体制を強化できなければ生き残っていけない。

--パスタを店内調理する「Fork Talk」や生鮮コンビニの「99イチバ」など、新業態のノウハウは既存店に還元できますか?

99イチバは本体への還元をあまり考えていません。ゼロとは言いませんが。「Fork Talk」は商品本部に専任部署も置いていますし、本体への還元が目的です。店内調理などノウハウを取り込んだコンビニを今後5~6店は出せると思います。ただ、多店舗展開をして、ドカンと花火を打ち上げるつもりはありません。

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