捨てるものは捨てコンビニの原点に戻る--中村元彦サークルKサンクス社長
--他社のコンビニとはどういった差別化をしていきますか?
今期から「夢WAKU WAKUプロジェクト」という運動を進めています。
私が社長に就任したとき、社員のモチベーションは非常に下がっていました。既存店売り上げも悪いし、予算も未達。競合他社に乗り遅れていました。そこで、社員に言い続けてきたことは、楽しい仕事をしようということ。どうせおカネを稼ぐなら楽しく仕事をして、夢や目標を持とうじゃないかと。合併してまだ2~3年なんだから、みんなで創業者精神を持って仕事をしよう。本部だけでなく、加盟店のオーナーも変わろうと。そういう考えからプロジェクトがスタートしました。
キーワードは「チェンジ」です。たとえば部署ごとにノー残業デーを作るとか、商品面でも加盟店から意見や提案をもらうようになりました。店員の制服も変えました。全部が全部変わってもいい。自分たちが面白くて、顧客が喜んでくれる仕事なら失敗を恐れずに実行に移そうと言っています。自分たちが変わりながら、新しいサークルKサンクスのブランドを作っていきたい。
--サークルKとサンクス二つの看板が併存しているのは障害になりませんか?
看板の統合よりもやらなければいけないことがあります。フランチャイズビジネスは契約の社会です。看板だけを議論していたらそれで終わってしまう。契約からやれることがあるだろうと。
まず、秋から新店のFC契約を一本化します。契約が違えば加盟店が本部に払うロイヤルティ額も大きく変わる。2社の契約を統合するとなると、加盟店さんは当然、低いロイヤルティの契約を希望します。
だから、新店のFC契約から合わせていく。今までは「新しい契約なんてできない」とタブー視されていた部分だけれど、ここにもメスを入れます。新規契約が3年を超えた段階で初めて、看板統合に向けた議論ができると思っています。
--親会社のユニーと伊藤忠商事は提携関係にあります。伊藤忠傘下のファミリーマートとの合併はありえますか?
まったく考えていません。そんな特命を受けて社長になったわけじゃない。それに、合併の大変さとシナリオの大切さを身をもって知っているのは私たちだけです。物流の統合で30億~40億円のコスト削減効果はありましたが、痛みのほうが強かった。新規の契約を合わせるにも4年近くかかったわけですから。将来の可能性はゼロではないけれど、今は毛頭考えていません。
(田邉佳介 撮影:今井康一 =週刊東洋経済)
なかむら・もとひこ
1959年生まれ。愛知学院大学卒。82年ユニー入社。94年サークルケイジャパンに移り、商品本部副本部長、営業統括部長など主に営業畑を歩く。07年より現職。6月には店舗の制服を一新、社内外で「チェンジ」を説く。
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