その結果、月収ランキングの1位は、航空運輸業となった。平均年齢42.3歳で58.38万円。残業時間(超過労働時間)も6時間と少ない。
2位は金融商品取引業、商品先物取引業だ。文字どおり、金融商品や先物の取引を仕事とし、投資コンサルタントやファンドマネジャー、金融ディーラーなども該当する。月収の56.34万円に加えて、年間賞与が288.53万円と高額な数字であり、年収では最多となった。賞与がこれだけの高水準になるのは、成果報酬的なものも含まれている可能性があるためだろう。
3位は電気業(月収50.46万円)。電力会社などが該当する。4位の各種商品卸売業(48.34万円)は、主に商社であり、総合商社や貿易商社などもここに含まれる。
一方、下位を見てみると、下から洗濯・理容・美容・浴場業(24.11万円)、持ち帰り・配達飲食サービス業(24.17万円)、社会保険・社会福祉・介護事業(24.42万円)となっている。
福祉介護や教育、宗教関連は残業も少ない
所定内労働時間を見ていこう。ランキングを見ると、給与の多い産業ほど労働時間が少ない一方、給与が少ない産業ほど労働時間が多いことがわかる。つまり、賃金と労働時間は、逆相関になっている。賃金が低く労働時間が多い産業の多くは、労働集約的な産業であり、収益を確保するためには賃金を抑え、”拘束時間”を長めにする傾向があるようだ。
残業時間については、道路貨物運送業(33時間)、道路旅客運送業(28時間)が多い。トラックやバスのドライバーがほとんどを占めるこれらの業種は、所定内労働時間も170時間を超えており、かなり厳しい労働環境であるといっても過言ではない。
一方、残業が少ない産業としては、宗教(3時間)、社会保険・社会福祉・介護事業(4時間)、学校教育(4時間)など。ただ、あくまでも統計上の数字で、サービス残業などは含まれない。最近では、教員の部活動などの時間が労働時間に参入されていないという現状もあるので、学校教育で働く人の実態はもう少し残業時間が多いと思われる。
また平均年齢では、道路旅客運送業が54.3歳と、かなり高い数字となっている。タクシードライバーなどが中心だと思うが、かなり高齢化が進んでいる状況だ。
平均年齢が若い産業としては、インターネット附随サービス業(34.1歳)、職業紹介・労働者派遣業(38.3歳)など、平均年齢が30代の産業は12あり、ここには銀行業(39.4歳)も含まれる。銀行の行員はある程度の年数に達すると、融資先の企業に転職するケースが多く、そうした影響が平均年齢の低さに表れているのかもしれない。
他方、平均勤続年数の上位は、電気業(20.6年)、石油製品・石炭製品製造業(18.8年)など、比較的給料の高い産業が多い傾向がある。その反面、下位は職業紹介・労働者派遣業(4.1年)、インターネット附随サービス業(4.7年)など、平均年齢の若い産業が名を連ねている。ちなみに給与水準が低い産業は、平均勤続年数が低い傾向にあるようだ。こうした産業については、従業員の定着率を上げるためにも、給与水準の底上げが急務といえるだろう。
なお、産業全体の平均は、月収33.37万円、賞与89.42万円、年収489.9万円、平均年齢42.2歳、平均勤続年数11.9年、所定労働時間164時間、残業時間は13時間、となっている。自分が気になる産業と比較する参考にしてもらいたい。
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