まず、「二流の暗闇」に転落した投票者は、「なぜ解散するのか、その背景を理解できない」ものである。
「次の自民党総裁選」を見越した解散
【1】「なぜ解散したのかわかっていない」ことがバレる
今回の選挙の理由は、翌年の自民党総裁選で3選するためには、衆院の3分の2の議席数を減らしても「直近の衆院選で過半数を維持した」という実績が必要だからである。
また、安倍首相が最も成し遂げたい「9条改正」を含む「改憲」については、与党が3分の2の議席数を失っても、票を取るのが小池氏率いる保守政党なら、政策単位で連携して「悲願の改憲が達成できる」という見込みがある。
さらに、今回は都議選で圧勝した「都民ファーストの会」の流れを受ける「改革派保守政党」が台頭しつつあるため、人選次第では以前「維新の党」がなしえなかった「既得権益層に縛られない改革派保守政党」を実現できるかもしれないのだ。
今後、この「改革派保守政党」の体制が整えば、自民党は大きく議席を減らすことになる。要するに、「改革派保守政党の体制が整う前に衆院選を乗り切って、来年の自民党内の総裁選3選につなげるため」の解散総選挙なのである。
残念ながら二流の投票者は、ここまでの理由がまったくわかっていないのだ。
【2】「政策の優先順位がない」ことがバレる
次に投票した途端バレてしまうのが、投票する際、政策の優先順位がないことである。
「政策の優先順位」は、それぞれ異なって当然だが、最大公約数的に社会への大きなインパクトを考えれば、「社会保障制度の改革」「道州制の導入」「ベーシックインカムの推進」ではなかろうか。
「社会保障制度」に関しては、今の平均寿命を鑑みると、40年間働いた場合、約25年は年金で生活する計算である。しかし、賦課方式で減りゆく若年世代が、増え続ける高齢世代を支える仕組みでは、破綻は約束された運命だ。
この「若年層から高齢層への所得移転」の流れを断ち切る「世代間格差改革」の断行は喫緊の課題だろう。
また、「道州制」の基本的な意味合いは「地方の財源と支出を一致させる」ことである。
国民の税金はその多くが中央政府に入ったあと、中央政府の予算として地方に分配されている。「いったん中央に入ってから地方に再配分」という「非常に非効率な癒着の温床」につながっていることがよくわかる。
だが、この道州制も日の目を見ずに消えてしまうかもしれない。なにせ「やりたい政策は別にないけど、自分の現職を守りたいだけの議員」は、国会議員・地方議員問わず、掃いて捨てるほどいるのだから。
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