また「ベーシックインカム」に関してだが、この本質は「負の所得税」といえよう。つまり、「所得水準が一定を下回っている人には、負の所得税を課して、給料を上乗せする」という考え方である。
この制度のメリットは、これまで生活保護を受けていた人が「働いて所得を得るとその分、保護を減らされるから働く気がしない」というディスインセンティブを解消するのが真の狙いである。
この制度を導入すると、ベーシックインカムが社会保障の役割も担うので、念願の「税と社会保障財源の一体化」が実現するのである。これこそ、ベーシックインカムの隠れた野望なのだ。
何が政策の優先課題なのかは人それぞれだが、そもそも「自分にとっての政策優先課題」が、投票者にも立候補者にもないのが、二流の総選挙の恥ずべき特徴といえるだろう。
「既得権益」と戦う人ほどマスコミでたたかれる
【3】「メディアリテラシーの欠如」がバレる
最後に投票するときに一発でバレてしまうのが、メディアリテラシーの欠如で、そもそも「情報を読み解く力」が一切ないことである。そもそも政策がどのように決定されるかがわかっていないため、誰を批判したらいいのかが見えてこないのだ。
たとえば、成立する法律の多くは内閣が提案したもので、まずは官僚が作る。それが部会を経て、政調会の承認を得て、代表者からなる総務会の承認を得て、最後に閣議決定されたあとで、もはや何も変わらない国会の議論につながるのだ。
このプロセスでは、官僚が素案を作り、法律の専門家ではない国会議員のオジサンたちが、支持基盤の既得権益グループの要請を受けて改革法を潰しにかかる。
この既得権益の岩盤を突き崩すには、官僚の抵抗や族議員の抵抗を押し切れる、メディアと世論を味方につけて既得権益と戦える強いリーダーが必要だ。しかし、もちろん抵抗勢力はメディアにリークして、改革派を潰しにかかるものである。
逆に、官僚の言いなりで、既得権益にいっさい手をつけない「形だけの大臣」ほど、官僚からは「政策通だ」というヨイショ評価をマスコミに流してもらい、あたかも改革の旗手であるかのような報道がされるのは滑稽なかぎりである。
実際はマスコミにさんざんたたかれている人に限って、よく見ると既得権益と戦い、一人ひとりの国民生活を真剣に気にかけているものだ。
しかしそれを見破れず、既得権益層が懇意にしているメディアに流す情報に踊らされて衆愚政治に加担している人は、しょうもない投票しかできない、二流の投票者への道をコロコロ転がり落ちているのだ。
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