アベノミクス相場は、いよいよ「最終局面」か 大義なき解散でもいいが選挙後はどうなる?

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マーケットも、安倍首相にとって好都合に動いている。

9月20日に行われたFOMC(米連邦公開市場委員会。FRB=米連邦準備制度理事会の「金融政策決定会合」)では、年内利上げの見通しが維持された。10月からのFRBの保有資産縮小開始(保有する国債等を減らす)といった金融引き締め方向のニュアンスが為替市場ではドル高をもたらし、他方、今後の利上げスピードはかなりゆっくりではないかとの見方が優勢だ。その結果、米国の株価はNYダウで最高値を連日更新、日経平均も再び2万円台に乗せている。筆者は、FRBのジャネット・イエレン議長の顔がフクロウに似ていると思えて仕方がないのだが、タカ(金融引き締め派)でもハト(金融緩和派)でもない、両方の顔の使い分けが今のところうまくいっている。

投資家にとっては、解散総選挙がマーケットにどう影響するかが気になるところだが、仮に、「少々議席を減らすとしても与党の勝ち」という予想を前提とすると、8月の時点で恐れていた、安倍内閣退陣で来年の日銀総裁人事が不透明化する、マーケットが最も懸念する事態は避けられそうだ。

不気味な東証REIT指数の下落は何を意味するのか

ただし、この場合、選挙で与党が勝ったときが、市場にとって「世界が最も明るく見える瞬間」になるのではないだろうか。

その後に具体的な悪材料はいまだ見えないものの、長年続いた「アベノミクス相場」が選挙の前後に一段落をつける可能性が小さくないように思える。

筆者には、年初の水準から約10%も下げている東証REIT指数の動きが不気味に見える。不動産市場では、外国人投資家を含む機敏な投資家は、すでにポジション縮小に向けて静かに動いているのではなかろうか。

もっとも、筆者は、大規模なバブル崩壊のような事態を懸念しているのではない。株式市場でいう「調整」(株式関係者は、株価は上がるのが正常だとの期待を込めて、下げ局面を「調整」と呼ぶ習わしだ)が遠からずあるのではないかと心配しているにすぎない。

リスク資産を持ちすぎているのでなければ、長期で資産形成を目指している投資家は、動くに及ばない。

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