深謀?無謀?赤字上場ベンチャーの見極め方

マネーフォワードの上場が注目されるワケ

尾原:そう。あらゆる資源が、保有から利用に変わっていく。中国で今めちゃくちゃ配られているシェア型の自転車の話も、根本的にはこういうモデルですね。

シバタ:遠からず、自動車もシェア自転車みたいになりますね。マイカーを保有するより、シェアリングで利用するときにだけ対価を払うという。

「ピザビジネスの悲劇」

尾原:もう始まっていますよ。日本でもパーク24がカーシェアをやっていて、大型のマンションには結構導入されています。1台あれば5人分とか複数の移動需要は満たせるから、シェア自動車が1台導入されればほかの台数分の新車販売需要が消える可能性がある。これは自動車産業にとってインパクトが極めて大きい。

尾原和啓(おばら かずひろ)/IT批評家。京都大学大学院工学研究科で人工知能を研究。マッキンゼー、グーグル、楽天(執行役員)、リクルートなどで事業立ち上げ・投資に従事。経済産業省対外通商政策委員、産業技術総合研究所人工知能センターアドバイザーなどを歴任。近年はシンガポールとインドネシア・バリ島をベースに活動。著書の『ザ・プラットフォーム』『ITビジネスの原理』はITビジネスの本質を学べる良書として評判が高い。

ただこういう新しいビジネスモデルで注意しなければいけないのは、市場を開拓するためにマーケティングコストをかけた結果、似たような企業に顧客を奪われてしまうという事態です。

せっかく畑を耕したのに、よそに収穫されちゃうという。これを僕は「ピザビジネスの悲劇」って呼んでいます。デリバリーピザのチェーンって大きいところがいくつかありますが、1社がテレビ広告を打ちまくったおかげで消費者が「ピザの宅配サービスがあるんだ」と認知するようになった。そうしたら広告を打った側じゃなく、競合が伸びちゃったという。

これと同じことが、今ITベンチャーでも起こっています。米ウーバー・テクノロジーズです。運転手と乗客をマッチングするライドシェアの代表的企業ですが、ウーバーが一生懸命運転手に教育を施して市場を作り上げたところを、米リフトのような後発企業が「後のせサクサク!」と言わんばかりにおいしいところをさらっていっている。

ドライバーは複数のアプリを使うことに抵抗がありませんから。そういうリスクはライドシェア以外にもあるので、大赤字のベンチャーが絶対に買いだとは断言できない。

シバタ:そのとおりです。これからの成長率に注目する必要がありますし、そもそも買いだ、売りだ、という評価はマーケットが決めることです。ただひとつ言えるのは、マネーフォワードはSaaS企業のIPOとしては米シリコンバレーのパターンに近い、ある種のお手本の「型」ということ。だから、上場とその後に株価とビジネスがどう推移するかに注目して損はないです。

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