フジテレビ、新社長が語る視聴率低迷の要因

73歳、出戻り社長は混迷するフジを救えるか

――宮内社長がイニシアティブを持って経営に取り組める体制は確保されているのか。また、日枝氏にどのような役割を期待しているのか。

私もいざ始める前はどうなるかと思っていたが、実際に役員と幹部社員、社員の人事異動を私の考えで行った。もちろん日枝さんに相談したこともないし、NGも出なかった。託されているんだなと感じており、現時点でやりにくいとかはいっさいない。

日枝久相談役はフジテレビの代表取締役を29年務めた。現場における実績も抜群で、まさにグループを代表する人物だ(撮影:尾形文繁 2005年)

ただ、日枝さんは30年近くトップを務めた経験があり、編成局長としても1982年に視聴率三冠王(6時~24時の全日帯、19時~22時のゴールデン帯、19時~23時のプライム帯の時間帯でトップ)を取り、それが12年続いた。実績がある方なので、折に触れて相談したい。

――社長の任期はどれくらいになると考えているのか。若返りではなかったので、ワンポイントリリーフになるとの声もあるが。

すごい質問をしますね(笑)。本人としては業績改善を成し遂げるまでやる気満々ですよ。

――フジテレビは編成局長の石原隆取締役に権限を集中させる組織改革を実行している。狙いは何か?

テレビ局はコンテンツ、番組がいちばん大事だ。そこにかかわる予算執行の権限や人事権を集中させて、いい企画ができる体制を作りたいと考えた。だが、担当役員や局長、担当局長、局次長がいて…という従来の考え方だと、どうしても意思決定や権限があいまいになる。

私は、自分のやりたいことが下まで通り、会社を巻き込んで決めることができる組織がベストだと思う。手始めに編成局をトップにして、その下に番組制作、映画制作、広報などを集中させた。考えて決める人間を1人にして、それを全社でバックアップする体制でスタートしたわけだ。

以前だと、たとえば番組改編の時期に「タイムテーブルをこういう風にしたい」という編成の考えがあっても、ほかの局が反対することもあった。それでは思い切った変革ができない。私は20年ほど編成周りの仕事をやっていたので非常に苦労した。そうした障害を取り除きたかった。

フジテレビは、他局がやらないことを一番にやる

――フジテレビのどんな点が視聴率苦戦の要因だと考えているか。どのような改善策が必要なのか?

その質問に答えられれば苦労はしないのだが…。視聴率を取れる企画が出てこないのは、番組の作り手と視聴者の間で、何というのかな。「心のキャッチボール」みたいなことができていないんじゃないか。感動というか、言葉にしにくいが、そういう部分が欠けているのでないかと。

心に触れるというか、視聴者との心のキャッチボールができ、双方向で手応えのある企画が生まれれば、それを膨らませ、数を増やす。そういうことで視聴率アップが望めるのではないかとぼんやり思っている。

宮内社長が自身の就任と同時に行ったのは、編成局長を務める石原隆取締役(写真)に権限を集中させる組織改革だった(撮影:大澤誠)

――今後はどんな番組やコンテンツが必要だと考えているのか。

フジテレビは他局がやらないことを一番にやってきた。そうした姿勢が出てくると、視聴者の方も目を向けてくれる。今は動画を視聴する端末も多くなったので、地上波以外も巻き込んでいきたい。

また、技術革新もかなり進んでいる。BSは来年の12月から4K放送が始まる。今はテレビと直結しないが、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)などの技術もある。今後はテレビ受像器も変化、進化していくだろう。

受像器が変われば、企画も変える必要がある。情報番組やニュース番組は地味だといわれたこともあったが、技術が進化すれば、まったく時差のない中継や、ものすごく臨場感のある映像を届けられるかもしれない。コンテンツの開発は絶対に遅れてはいけないし、フジテレビが他局よりも先にやるという気概を持たなくちゃだめだ。

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