連合、「残業代ゼロ法案審議」で問われる覚悟 臨時国会で関連法案の審議が始まるが・・・

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負い目に加え、連合執行部にはようやく築いた政労使合意というチャネルを失いたくない事情がある。

第2次安倍政権は当初、政府の産業競争力会議や規制改革会議で雇用規制を「岩盤」扱いするなど緩和一辺倒。連合など労働者側は完全に排除されていた。

政労使合意の呪縛

だが、2015年の一億総活躍国民会議の発足時から風向きが変わり始める。働き方改革では政労使合意の枠組みで、残業時間の上限規制、同一労働同一賃金など労働者寄りの政策が打ち出された。

「逢見直人事務局長が修正要請を主導したのは、政労使合意の枠組みを守ろうとしたため」(連合幹部)とされる。

政府は取り込みの一方で、揺さぶりもかける。7月末、労政審の新部会「労働政策基本部会」が開催された。

塩崎恭久厚労相(当時)の肝いりで発足しており、「旧来型の労使の枠組みにとらわれず、有識者が個人として自由闊達に意見を言う場」と説明している。

実際、会議では従来の労働政策の枠組みを抜本的に変えるべきとの主張が相次いだ。連合はらち外に置かれかねない。

内憂外患を抱える連合。「労働者の代表」として、正念場を迎えている。

風間 直樹 『週刊東洋経済』編集長

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かざま・なおき / Naoki Kazama

1977年長野県生まれ。早稲田大学政経学部卒、法学研究科修了後、2001年東洋経済新報社に入社。電機、金融担当を経て、雇用労働、社会保障問題等を取材。14年8月から17年1月まで朝日新聞記者(特別報道部、経済部)。復帰後は『週刊東洋経済』副編集長を経て、19年1月から調査報道部、同年10月より現職。著書に『雇用融解』(07年)、『融解連鎖』(10年)、電子書籍に『ユニクロ 疲弊する職場』(13年)など。

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