ミズノやゼット、野球離れに「球活」で反撃 宿敵同士の野球用品メーカー21社が共闘

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元ヤクルト選手の河端も「野球離れは痛いほど感じています。先生が子供たちに野球を教えるときに、自分が楽しいと思わなければ、伝わらないと思うんです。終わった後の顔色、汗の量を見てもらったらわかると思いますが、今日は楽しんでいただけたのではないですか」と語った。

NPBの野球振興室・室長補佐の松嵜勝久は、取り組みをこう語る。「『ベースボール型授業研究会』は、2012年から年1回、所沢の西武ドーム(現メットライフドーム)に先生方を集めてやっていました。ですが、その方法では参加できる先生の数、地域が限られているので、2016年から、本格的にこちらから出向くことにしました」。

野球振興のためのさまざまな取り組みを連携できるか

2016年は23回開催して約1000人、今年もすでに22回開催して千数百人の教員が体験。今年はあと数回予定しているという。松嵜は次のように言う。

「NPBもJSAもアマチュア野球界も、みんな危機感は持っています。昨年、プロアマの野球界が『日本野球協議会』を立ち上げましたが、ここでも未来へ向けて何かやらなければならないという話になっています。NPBの球団やアマチュア野球団体なども普及活動をしていますが、NPB、JSAで始めたこの試みの経験、成果をみんなで共有できればと思っています」

筆者の近著『野球崩壊 深刻化する「野球離れ」を食い止めろ!』(上の書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします)

中学校では教員たちが休みを潰し、残業代も出ないままで行う部活指導が問題になっている。ただでさえも授業、部活と時間に追われ余裕がない先生たちが、「ベースボール型授業」のために割くことができる時間は多いとはいえない。野球界はそれを乗り越えて、野球の裾野を広げる努力をしなければならない。

これまでの成功体験が大きすぎたから、種のまき直しはなかなか難しい。

しかし、野球用具業界もNPBも、そうした地道な取り組みを開始している。私が強く望んでいるのは、現在、バラバラに行われているこうした動きが、連帯、連携して、野球界全体の動きになることだ。野球にかかわるすべての人のパワーで「野球離れ」を克服してほしい。

(文中一部敬称略)

広尾 晃 ライター

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ひろお こう / Kou Hiroo

1959年大阪市生まれ。立命館大学卒業。コピーライターやプランナー、ライターとして活動。日米の野球記録を取り上げるブログ「野球の記録で話したい」を執筆している。著書に『野球崩壊 深刻化する「野球離れ」を食い止めろ!』『巨人軍の巨人 馬場正平』(ともにイースト・プレス)、『もし、あの野球選手がこうなっていたら~データで読み解くプロ野球「たられば」ワールド~』(オークラ出版)など。

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