「栄養」について知らない「栄養士」が多すぎる 残念な栄養士が信じ続ける「7つの誤解」
しかし、血糖値を直接に上げるのは糖質だけです。タンパク質や脂質を食べても直接、血糖値は上がりません。
これは科学的に証明されている事実です。
この事実を知らないせいで、栄養士が糖質制限食の意義を誤解するケースが、ままあるのです。
かつて、栄養士が学校で教わった栄養学では、こうなっていました。
「タンパク質や脂質も、血糖値を少し上げる」
これは古い認識で、実は科学的な根拠のない主張でした。その後、欧米では生理学的な研究が進められて、食事のタンパク質や脂質は直接に血糖値を上げないことが確認され、常識となっているのです。アメリカの糖尿病学会(ADA)の患者教育用テキストブックにおいても、2004年からこのことが明記されています。
ところが、日本の栄養学の教育現場では、いまだにこの事実を教えず、古い認識をそのままにしているのです。
そんな間違った教育を受けた栄養士たちはこう思っています。
「糖質だけ減らしても、タンパク質や脂質だって血糖値を上げるんだから、あまり意味がないじゃないの」
こんな誤解をしてしまっては、糖質制限食の意義がわからないのも無理はありません。
科学的に証明されている事実はこうです。
「食事をとったとき、血糖値を直接に上げるのは糖質だけ。だから、食事の糖質を減らせば減らすほど、食後の血糖値は上がらなくなる。血糖値が上がらないから、インスリンもあまり必要なくなる。高血糖も高インスリンもないから、糖尿病にも肥満にも動脈硬化にもなりにくい」
つまり、よいことだらけの糖質制限食の意義は、最初の事実である「血糖値を直接に上げるのは糖質だけ」という点にかかっているわけです。
残念ながら、日本の栄養学の教育は遅れています。
栄養学の先生たちは、日本人の健康に深く関与する栄養士を育てるのですから、どうか、つねに最新の科学研究の成果を学んでほしいものです。
「タンパク質のとりすぎが腎臓に悪い」には根拠がない
カロリー制限説と脂肪悪玉説の2つが否定されたこと。
近年の栄養常識の変化として、大きな出来事はこれですが、もう一つ注目したいものがあります。それは、タンパク質に関する常識の変化です。
今までは、タンパク質をとりすぎると、腎機能に悪影響があると信じられていました。
糖質制限食は糖質を減らす分、脂質とともにタンパク質の摂取が増えますが、この常識のため、糖質制限は腎臓に悪いとする医師や栄養士がいました。
ところが、この健康常識にも、疑いの目が向けられているのです。
というのも、タンパク質のとりすぎが腎機能の悪化につながるという、確かな医学研究がないからです。そのため、この常識も変わりつつあります。
まず、厚生労働省は腎機能の正常な人について、タンパク質をとる量の上限を設けることをやめました。2015年度版の「日本人の食事摂取基準」(厚生労働省)では、タンパク質の過剰摂取による健康障害には十分な根拠はないとしたのです。
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