サムスントップ、「実刑」5年判決が出た舞台裏 朴前大統領にはより重い有罪判決の可能性も
裁判所は「被告人は大統領による乗馬支援要求が、崔氏の共謀によるチョン・ユラ氏個人に対する支援要求であることを知っていた。朴前大統領も崔氏からサムスンの支援状況を継続して伝えられていた」と指摘している。サムスンとしては2014年12月や2015年1月ごろ、朴前大統領の指示がチョン氏と関連していたものであることを知っており、2015年3〜6月ごろに崔氏が背後にいることを認知していたために同年7月から実際に支援を始めた、というのが裁判所の判断だ。
「乗馬支援金は崔氏母娘に行っただけで、朴前大統領の手には渡っていない」というサムスン側の主張についても、裁判所は「単純な収賄罪は共同正犯である公務員(=朴前大統領)に賄賂が実質的に帰属されることを必要としない」と判断した。
李副会長による賄賂供与を裁判所が認める判決を出したことで、収賄容疑で起訴・裁判中の朴前大統領と崔順実氏にも、「有罪」判決が下される可能性が高まっている。特別検察が起訴した李副会長と、検察が起訴した朴前大統領とは、別の裁判で審理されているが、両裁判は互いに連携している”双子の裁判”だ。李副会長らはソウル中央地方裁判所の刑事合意27部、朴前大統領は同裁判所刑事合意22部が担当、裁判が進められている。
「与えた」側より「受け取った」側の罪が重い
原則として贈収賄は、供与した側も受け取った側も、ともに処罰されるのが普通だ。少なくとも、李副会長が有罪判決を受けた賄賂については、朴前大統領の容疑も有罪として認められる可能性が高いという意味である。特別検察は当初、李副会長がチョン・ユラ氏への乗馬支援と崔順実氏の関連団体への資金供出など、サムスン側から朴前大統領側に賄賂が供与されたと主張していた。
裁判所はこのうち、一部団体への賄賂供与容疑は無罪とし、残りはすべて有罪と認めた。李副会長側が控訴すれば、一審とは違った判断をする可能性はあるものの、朴前大統領に対する判決が出される今年10月までに、李副会長の二審は終わる可能性が低い。特別検察法によれば、控訴審は一審判決以降、2カ月内に終わるべきだとの規定があるが、強制性はない。贈収賄では「贈賄」側よりも「収賄」側、すなわち「与えた」側よりも「受け取った」側のほうの罪が重くなることを考えると、朴前大統領が李副会長よりも重い判決を受ける余地も大きい。
特に裁判所は、「李副会長は前大統領の積極的な要求に受動的に応じて賄賂供与という犯行に関する意思決定を行った」と述べており、裁判中に李副会長側が主張した「大統領の圧力による供与」という論理を一部受け入れたことになる。朴前大統領の裁判でも、賄賂供与について今回の判決と同じ脈絡で把握されれば、”積極的な要求”を行った朴前大統領の量刑が重くなる要因となりうる。
一方、崔順実氏側の弁護士は、「裁判所は、特別検察の主張するサムスンによる賄賂供与額512億ウォン(約51億円)のうち88億ウォン(約8億8000万円)を有罪と見なし、83%である424億ウォン(約42億円)は無罪とした。大統領と超一流企業の経営陣が経営権継承をめぐって、たかが88億ウォンの賄賂を取引したとすれば、韓国はあまりにもみっともない国に感じる」と主張した。
また「裁判所が明示的・目視的な請託が認められないと前提しながらも、窮余の策として明示的・包括的請託という曖昧模糊(あいまいもこ)とした概念を適用している。判決文を分析し裁判に備える」とも付け加えた。
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