景気底打ち?中国の経済運営は変わったのか 景気・経済観測(中国)

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「マクロ経済が合理的な範囲内で推移しているときは構造調整と改革推進を主に行う」と李克強首相は発言している(7月16日の経済形勢座談会)。こうした基本認識、基本方針がある以上、中国政府が景気刺激策によって投資等を喚起し、再びプラス8%台の成長に経済を回帰させる可能性は低いとみるべきだろう。景気の底割れ防止と構造改革促進が中国政府の狙いのはずだ。

景気上振れリスクにも注意が必要

しかし、政策に対する期待が先行し、景気が上振れてしまうリスクはある。実際、2013年1~3月期には、都市化推進策に対する期待から鉄鋼業などが増産に走り、在庫が積み上がってしまうという事態が生じている。

その後、都市化の中長期計画は練り直しのために発表が延期されたが、年内には発表される見込みだと伝えられている。また、11月には中国共産党第18期中央委員会第3回全体会議が開催される予定であり、それに前後して、都市化以外にもさまざまな政策方針や措置が発表されることになるだろう。

そうした施策に反応して再び生産・投資が勢いづくことになれば、一時的な経済活況の裏側で、景気腰折れリスクのマグニチュードがいや増すことになる。中央政府の意に反して景気が上振れることがないか。今後はこの点にも注意が必要だ。

伊藤 信悟 国際経済研究所主席研究員

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いとう・しんご

1970年生まれ。東京大学卒業。93年富士総合研究所入社、2001年から03年まで台湾経済研究院副研究員を兼務。みずほ総合研究所を経て18年に国際経済研究所入社。主要著書に『WTO加盟で中国経済が変わる』(共著、東洋経済新報社、2000年)、主要論文に「BRICsの成長持続の条件」(みずほ総合研究所『BRICs-持続的成長の可能性と課題-』東洋経済新報社、2006年)、「中国の経済大国化と中台関係の行方」(経済産業研究所『RIETI Discussion Paper Series』11-J-003、2011年1月)など。

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