景気底打ち?中国の経済運営は変わったのか

景気・経済観測(中国)

ただし、削減された財政剰余金分、財政支出が積み増されると考えるのは早計であろう。地方政府債務の拡大に対する警戒感が高まっており、その実態把握を中央政府が急いでいるのが現状である。剰余金を効率的・効果的に使うことで、地方政府債務の急速な拡大に歯止めをかける一方、整備が遅れている都市インフラの建設などに財政資金を振り向けたいというのが中央政府の狙いだと推察される。

7月24日に国務院常務会議で、鉄道投融資体制改革と中西部・貧困地区における鉄道建設の加速方針が明言されたことなどから、それによる景気回復への期待も唱えられている。ただし、中国鉄路総公司は2013年の固定資産投資額を当初計画比100億元積み増すだけのもようだ(総額6600億元、『新華網』8月8日)。また、そもそも鉄道部が多額の債務を作り(2012年末で2.6兆元)、その処理を迫られている中国政府が再び大規模な鉄道建設に踏み切るとは考えにくい。

「構造調整と改革推進を主に行う」との首相発言

なお、8月には「省エネ・環境保護産業の発展を加速させることに関する国務院の意見」「情報消費の促進と内需拡大に関する国務院の若干の意見」が発表され、それが株式市場などで好感されている。ただし、これらの政策は2015年ごろまでを見据えた中期計画という色彩が強い。短期的な景気への影響は現時点では未知数と言わざるをえない。

小規模とはいえ、景気浮揚効果を持ちうる政策が相次いで打ち出されている背景に、景気下振れリスクに対する中国政府の警戒の高まりがあることは確かである。ただしその一方で、中国政府は「現在、中国経済は合理的な範囲内にある」との基本認識を持っている(7月24日の国務院常務会議)。ここで言う「合理的な範囲」とは、インフレがコントロールできており、かつ、安定成長と雇用が確保できている状態を指す。

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