北朝鮮問題は、どうすれば解決に向かうのか 日本にとって悪夢のシナリオもありえる

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いまのような北朝鮮が北東アジアに存在することは、北朝鮮だけでなく環日本海地域一帯の経済発展を阻害する足枷(あしかせ)になってきた。その反面として、中国東北地方、ロシアの沿海地方(北方四島地域を含む)なども含め、北東アジアに残る最後の開発フロンティアは、実は北朝鮮とその周辺なのだ。そう述べても、「米国や中国などの大国の身勝手に受け身一方で翻弄されて、カネだけ出させられる」という嫌な予感が頭から離れない人は多いだろう。経済協力のカードだけで日本の国益が守れるのか。

日本がとりうる究極の選択肢

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実は日本にはもう一枚カードがある。日本自身には自覚がないが、周辺からはひとしくそう見られているそのカードは、日本の核武装だ。日本にとっては、戦後の平和国家アイデンティティを捨て去るような話で、「リベラル」な国民からはごうごうたる反対が起きることが必定だ。一方では、「核兵器を持たないから、中国や朝鮮に『舐められる』のだ」といった子供っぽい物言いをする人も大勢いるが、そんな幼稚なお国柄では、やはり核は保有させられない。

しかし、万一、米・中両大国が日本の利益を顧慮しない身勝手なディールに走る気配が出てきたときに、日本が抑止に使うことのできる最後のカードは「事態がそう運ぶのなら、日本は独自の核兵器を持つしかなくなる」という意思の表明だ。幸い、そういうセリフが絵空事に聞こえないだけの技術水準がいまの日本にはある。そんな展開にならないことを切に願っている。

津上 俊哉 現代中国研究家

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つがみ としや / Toshiya Tsugami

1957年生まれ。1980年東京大学法学部卒業後、通商産業省(現経産省)に入省。在中国日本国大使館経済部参事官、通商政策局北東アジア課長、経済産業研究所上席研究員を歴任後退官。2012年より津上工作室代表。主な著書に『中国台頭』(日本経済新聞社)、『中国台頭の終演』(日経プレミアシリーズ)、『中国停滞の核心』(文春新書)、『巨龍の苦闘』(角川新書)など。

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