北朝鮮問題は、どうすれば解決に向かうのか 日本にとって悪夢のシナリオもありえる

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暴走する北朝鮮に対してアメリカや中国はどう動くのか(写真:Harvepino/PIXTA)

ミサイルを使った北朝鮮の挑発が止まらない。アメリカのドナルド・トランプ大統領も「軍事解決の用意は整った」とツイッターで応じる――。「米朝戦争勃発か」という不安の声が高まってきた。

今年4月の米中首脳会談で習近平・中国国家主席が「今後は核実験をさせない」と決然とした態度を示して、トランプを中国寄りにさせたのは巧みだったが、金正恩・朝鮮労働党委員長が「それならば」とばかりミサイル開発に注力した結果、中米関係は再びモヤモヤし始めた。

中国にとって受け入れがたい莫大な難民の流入、安全保障上重要な「緩衝地帯」の消失などの問題を避けるために、北朝鮮崩壊のリスクを冒すような厳しい制裁をしにくい事情は変わっていない。トランプはそんな中国に「失望」を表明して米国単独による軍事的解決も辞さない構えだが、その実行が著しく困難な事情も変わっていない。

ただ、そんな閉塞に変化が生ずる可能性もある。

これまで日本も米国も「中国は緩衝地帯を必要とするので、北朝鮮に本気で圧力をかけることはない」と見てきた。そのくせ、北朝鮮が事を起こす度に「中国はもっと圧力をかけろ」と求めてきたことは、はっきり言えば「茶番」だった。

しかし、「中国を本気にさせるために、在韓米軍撤収のカードを使うべきだ」という声が米国で上がった。東アジアの地政学を塗り替える重大な選択だ。従来なら考えられないような議論が始まったことは、米国はすでに茶番モードを脱しつつある表れではないか。

中国がレジーム・チェンジに踏み切る条件

在韓米軍撤収を約束すれば、中国は北朝鮮を崩壊させる決断に踏み切れるというほど事は簡単でないが、「ありえない」と断定すると「想定外」の事態に遭遇しやすいのも国際情勢だ。拙著『「米中経済戦争」の内実を読み解く』では、あえて「ありそうもない」想定をいろいろとしている。

中国が北朝鮮のレジーム・チェンジ(武力を行使したり、非軍事的手段によって、他国の指導者や政権を交代させること)に踏み切るにはいくつも条件があるが、決定的に重要なのは北朝鮮の核・ミサイル開発が、何としてでも避けなければならないような事態をもたらす場合だ。たとえば、前述したように韓国や日本が北朝鮮のミサイル実験で実害を受けたり、北朝鮮がミサイルに搭載した核弾頭の大気圏外爆発実験を行ったりして、これに刺激された日本や韓国が核武装に向かうといった事態は、それに近い状況かもしれない。

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