保育園大手JPHDでも経営陣と創業者が対立か 創業者等が株主提案に賛同、背景に何が?
現社長の荻田氏は、少子化が進む中、首都圏を中心とした現状の待機児童問題は解消すると見て、民間学童クラブや保育園向けコンサルティングなど周辺事業に参入したり、ベトナムなど海外に進出するといった多角化を進めている。
創業者の山口氏は東洋経済の取材に応じなかったが、複数の関係者によれば、山口氏など大株主側は「国内での保育園運営という本業こそが成長の源泉となる」と考えているようだ。
国内で認可保育園を運営する主体別に見ると、公立が39%、社会福祉法人が52%を占める。株式会社・有限会社の参入は近年急増しているものの、全体から見ると3.9%に過ぎない(2015年4月時点、厚生労働省)。
少子化は逆風かもしれないが、公立園の民営化や株式会社が手掛ける保育園のM&A、家族経営の社会福祉法人の事業承継など、業容を拡大するチャンスはまだまだある。実際、競合の保育大手ライクキッズネクスト(旧:サクセスホールディングス)もこうした方針から、保育園新設を加速している。
コミュニケーションはとれないから反対?
こうした対立が表面化したのが6月の株主総会だった。
第3位の大株主・医薬情報研究所(保有株数3.6%)が「取締役の任期を現行の2年間から1年間に短縮する」という提案、および社外監査役選任の提案を提出したのだ。
総会前日の6月28日に提出された大量保有報告書によれば、山口氏は親族や医薬情報研究所などと議決権を共同で行使することで合意している。
冒頭のように株主提案が可決寸前まで賛成を集めた理由は、筆頭株主として、23.8%の株を保有している前社長の山口氏の賛成があったからにほかならない。
会社側はこうした株主提案について反対を表明。荻田社長は、その理由について8月上旬に開いた決算説明会で「株主提案についてはその意図がはっきりせず、コミュニケーションが取れなかったため反対した」と説明する。
経営方針の違いについても「園長を務められる保育士が確保できておらず、国内での急拡大は難しい。9月にベトナムで2カ所の私立保育園を開園するほか、(保育コンサルも)すでに複数の顧客を確保している」(荻田社長)と成果を強調した。
ただ、取締役の任期の短縮については、「来年に会社提案として提出することを検討している」(同)と歩み寄る方針も示している。
もし両者の対立が取締役の任期や人事案に関するものであれば和解も可能だろう。ただ経営方針など、より深い理由が隠されている場合、対立が長引く可能性もありそうだ。
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