保育園業界を蝕む「助成金不正受給」の実態 企業主導型保育の穴狙い、助成金ビジネスか
「企業主導型保育」という言葉を聞いたことはあるだろうか。待機児童を減らし、育児と仕事の両立を促すための施策として、内閣府主導で2016年4月からスタートした保育事業だ。
企業が従業員の子どもたちを預かる保育所を新たに開設した場合や、保護者の勤務先が企業主導型保育施設と契約した場合などに、内閣府から認定を受ければ、認可保育所並みの助成金が交付される制度だ。直近の2016年度末時点で、助成が決定しているのは全国で871拠点ある。
保育園「パラレル経営」で助成金を受給か
だが今回、この制度の「穴」をつき、不正に多額の助成金を受給している疑いのある法人(以下、A社と呼ぶ)の存在が発覚した。A社とは、関西や東京を中心に、10園以上(2017年7月時点)の企業主導型保育施設を展開している法人だ。
企業主導型保育事業で助成の対象となるのは、2016年4月1日以降に新たに園を開設した場合のみ。既存の保育園を廃止して新園に振り替えた場合や、園を移転、建て替えた場合は対象にならず、「助成金の返還になることもあり得ますのでご注意願います」(内閣府「助成申請、運営にあたっての留意事項(平成29年度)」)とある。
それにもかかわらず、A社は既存の認可外保育園の園児と保育士を新施設に移管させつつも、「もぬけの殻」状態の旧施設を一定期間存続させることで、企業主導型保育施設を新設したかのように見せて助成を受けているのである。
2016年夏、関西のある地域で、複数の認可外保育園が、A社の担当者から営業を受けた。