「若者のフィットネス離れ」は、こう攻略せよ サーフィンやVRなど、エクササイズに新潮流

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体格や負荷のかけ方にもよるが、40分で約700キロカロリーを消費できる。ハードに見えるエクササイズだが、「余裕があればギアを1個上げて! きつければ軽くしてもOK!」という指示が出るように、ペダルの重さは適宜調節できるので心配はいらない。

いかにもサイバーな空間を走るシーンもある(写真:ルネサンス)

このサイクルプログラムによく参加するという30代の女性会員は「ステージによって映像も違うので、40分間飽きがこない。持久力が付き疲れにくくなった」と語る。

価格は月額1万3500円(税抜き)からと決して安くはないが、20~30代の男女を中心に会員数は伸び続け、開業約4カ月で800人程度に達している。ルネサンスの荻田雅彦・新業態推進部部長は「投資対効果という意味では大型スポーツクラブを作る以上の効果があった」と話す。

若年層をどう開拓するかが業界の課題

日本のフィットネスクラブ市場規模は緩やかに拡大している。日本生産性本部が発行する「レジャー白書2017」によれば、2016年は4480億円と過去最高だった。それでも各社が若年層に向けた新業態の開発を進める背景には、将来に対する危機感がある。

それは、市場拡大を下支えするのは中高年層だからだ。「健康意識の高い高齢者が、フィットネスを継続していることが大きい」(専門誌『フィットネスビジネス』の古屋武範編集長)。大手のルネサンスでも2013年3月期に43%だった50代以上のフィットネス会員の割合は、2017年3月期に50%まで上がっている。

それでも、日本のフィットネス参加率は3.3%(2015年、フィットネスビジネス調べ)と、17.3%の米国などと比べると低い。「これまでフィットネスをしなかった人たちにアプローチできる業態を開発し、参加率を底上げする余地がある」(ルネサンスの荻田部長)のだ。

フィットネスクラブ数自体は、パーソナルジムや小型のスポーツクラブなどを中心に増加傾向にある。中心に若年層に飽きずに長く通ってもらう業態・サービスを開発することが、フィットネス業界を勝ち抜くカギとなりそうだ。

常盤 有未 東洋経済 記者

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ときわ ゆうみ / Yuumi Tokiwa

これまでに自動車タイヤ・部品、トラック、輸入車、楽器、スポーツ・アウトドア、コンビニ、外食、通販、美容家電業界を担当。

現在は『週刊東洋経済』編集部で特集の企画・編集を担当するとともに教育業界などを取材。週刊東洋経済臨時増刊『本当に強い大学』編集長。趣味はサッカー、ラーメン研究。休日はダンスフィットネス、フットサルにいそしむ。

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