高校野球、名監督ほど難度増す「後継者問題」 夏の甲子園は4年ぶり、愛媛「済美」の現在地

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8月14日に行われた「夏の甲子園」大会7日目。強打を誇る済美(愛媛)は、終盤に集中打を浴びせて津田学園(三重)に7-1で快勝し、3回戦進出を決めた(写真:共同通信社)

高校野球で強豪校を育てた大物監督とベンチャー企業の創業社長には、ある共通点がある。それは、後継者へのバトンタッチがとても難しいことだ。ゼロから組織を立ち上げ、全国に名をとどろかせるような大立者になればなるほど、次を探すハードルが上がる。

今夏の甲子園出場校のなかに、70歳を超えた監督が3人もいる。高嶋仁(智弁和歌山・和歌山)、阪口慶三(大垣日大・岐阜)、大井道夫(日本文理・新潟)。甲子園でも輝かしい実績を持つ名監督の変わらぬ熱意と情熱には感服するほかない。

70歳を超えてなお彼らが監督としてユニフォームを着ることができるのは、有力な選手を呼び集める求心力があり、長年培ってきた独自の育成法を持っているから。いい素材を集め、鍛えあげることでチームを勝たせることができる監督だからだ。そのため、本人が「やめる」と言い出さない限り、監督交代はスムーズにはいかない。数々の栄光を勝ち取った功労者の扱いは難しい。

名監督の「バトンタッチ」には成功例が少ない

実際に、全国を見渡してみても監督交代が成功することは少ない。数少ない成功例として挙げられるのは、横浜(神奈川)だろう。

前監督の渡辺元智がユニフォームを脱いだのは2015年、70歳のときだった。後任となった平田徹は、国際武道大学卒業後に横浜のコーチとなり、2010年からの野球部長の役職を経て、2015年夏の大会後に監督に就任した。

32歳の青年監督は就任1年目の2016年に夏の甲子園に出場。東北(宮城)から見事に初勝利を挙げた。付け加えると神奈川の場合は、県内に東海大相模をはじめとする強豪校がひしめいており、県大会で優勝し、夏の甲子園に出るのが全国でも屈指の難度だ。これほど順調に監督交代が行われ、強さが継承されたのは、「終身名誉監督」の座に就いた渡辺をはじめとするバックアップ体制が整っていたからだろう(現在は終身名誉監督を退任)。

大物監督が退任し、それ以降も強さを維持することは容易ではない。そういう意味で、今大会、筆者が注目しているのが済美(愛媛)である。

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