あの映画の靴を実現させたナイキ「秘密工房」

自動で靴紐結ぶ「ハイパーアダプト」開発秘話

「マクフライ」をイメージして開発された「ハイパーアダプト」のプロトタイプ(写真:Dan Cronin/The New York Time)

がっちりしたスニーカーから飛び出たワイヤに、生地に埋め込まれた回路基板。その魔法のような機能を嬉々として見せてくれる人物が、ヨレヨレの白衣と、くしゃくしゃの白髪だったら、映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のドクそのものだったかもしれない。

しかし、ティファニー・ビアーズ(37)は、笑顔の美しいナイキのシニアイノベーターだ。オレゴン州ポートランドにあるナイキ本社の極秘ラボ「イノベーションキッチン」でエンジニアとして働いている。直訳すると、イノベーションキッチンとは「発明の台所」。創業者の1人であるビル・バウワーマンが、自宅からワッフルメーカーを持ってきて、画期的な「ワッフルソール」を開発したのが由来となっている。

シニアイノベーターのビアーズ氏(写真:Dan Cronin/The New York Time)

ただし、イノベーションキッチンにあるビアーズのオフィスは、極秘プロジェクトのプロトタイプやデザイン画が散らかっているとかで、今回の取材は不可。代わりに図工室とライブラリーとミーティングエリアを兼ねたようなスペース「ブルー・リボン・スタジオ」でビアーズの話を聞くことになった。

「ここにモーターフィット機能があって、全体を包み込むように引き締める。普通のシューズで靴ひもを締める感じとは大きく異なる」と、ビアーズは「マクフライ」の開発プロセスの話をしてくれた。

ナイキの最優先プロジェクトに

マクフライとは、昨年「ハイパーアダプト(HyperAdapt 1.0)」として発売されたシューズの開発名。映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の主人公マーティ・マクフライに由来する。シリーズ2作目(公開は1989年)で、2015年にタイムスリップしたマーティは、靴ひもを自分で結ばなくても、自動的にフィットするシューズを履いている。当時ナイキの新進デザイナーだったティンカー・ハットフィールドとマーク・パーカーのアイデアだ。

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