トランプ大統領が「再選」に向けて動き出した 大陪審の招集は弾劾リスクとはならない?

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トランプ大統領にとって、これから再選を目指すために、ポジティブな要素として、切り開かねばならない環境条件は、ダメージコントロールにしかならない「ミュラー氏解任」ではない。

オバマケア代替法案の最終的な成立、巨額インフラ投資による米国経済の持続的成長、株価の好調持続などだ。

2020年再選のカギを握るオハイオ州でのトランプ演説

そんな先行き前途を暗示し、再選を勢いづかせるようなイベントがあった。7月25日、オハイオ州ヤングスタウンで行われたトランプ演説だ。オハイオ州といえば、もともと民主党の地盤だったが、昨年の大統領選でトランプ候補が大善戦した。これから再選を目指すために最も重要な激戦州の一つになることは間違いない。

その重要な州でトランプ大統領は、支持者たちに向かって、「偉大なリンカーン大統領を除き、私はほかの誰よりも大統領らしくなれる」と胸を張ってみせた。

オハイオ州でのトランプ演説の一節、「米国人が尊敬するのは政府ではなく、神である」という表現は、トランプ支持者たちを熱狂させた。政府と神の2つの言葉の頭文字は、同じ「G」であり、韻を踏んでいる。この神のカードは、トランプ大統領を支持する白人労働者のハートをつかんで離さない。

神のカードに次いで米国人向けの愛国心カードも提示した。このトランプ政権の強硬姿勢があったればこそ、5日に採択された国連安保理による、中国、ロシアを含む全会一致の北朝鮮制裁決議がもたらされたと言える。暴走する北朝鮮に対する軍事行動も辞さないという、メディアを意識した強硬姿勢は、さらにエスカレートしてきている。

トランプ大統領は、北朝鮮がこれまでのように米国への脅しを続けるならば、史上最大の武力行使の蓋然性を、得意のハンドジェスチャーなしに、腕を組んだまま、強い言葉で北朝鮮に警告した。それは夏季休暇に入ってからのことだ。

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