トランプ税制改革方針が超軽量級だった事情

現政権の目玉政策なはずなのに・・・

トランプ政権が、「急ごしらえ」ともとらえられかねない税制改革の方針を打ち出したのには、きちんとした理由がある(写真:Henry Romero/ロイター)

目立った成果が上げられないまま、米議会は夏季休会を迎えようとしている。反転攻勢の期待がかかる税制改革では、ドナルド・トランプ政権と議会共和党の共同方針が、予定より1カ月早く発表された。肝心の改革の中身は詰まり切っていないが、夏季休会を利用して改革機運を高めていくことに、一縷(いちる)の望みを託さざるをえない状況だ。

1975年11月、悪天候のスペリオル湖で、米国で当時最大の貨物船だったエドモンド・フィッツジェラルド号が難破した。真っ2つに割れた船体は、遺体とともに湖底で発見されたという。5大湖史上最悪といわれるこの事故は、カナダのシンガー・ソングライターであるゴードン・ライトフットによるヒット曲の題材としても知られている。

もはや共和党は難破寸前

時は過ぎ、今年の7月28日。共和党下院議員の集会でポール・ライアン下院議長が引用したのが、そのヒット曲「エドモンド・フィッツジェラルド号の難破」の歌詞だった。集会の前夜には、オバマケアの改廃法案が上院で否決されていた。難破船の無残な顚末を歌い、目的地にたどり着けなかった悲劇を嘆く歌詞を引用せずにいられないほど、共和党には陰鬱な雰囲気が漂っている。

トランプ大統領の誕生により、共和党は自らの政策を実現していく千載一遇の機会を得たはずだった。党派対立が厳しい米国では、大統領と議会の多数党が同じ政党でそろわなければ、大胆な政策の実現は難しい。トランプ大統領と上下両院の多数党という組み合わせは、共和党が10年ぶりに手に入れたチャンスだった。

しかし、現実は厳しい。議会は目立った成果を上げられないまま、9月初旬まで夏季休会に入ろうとしている。年初から取り組んできたオバマケアの改廃を実現できていないだけでなく、トランプ政権の公約である大型減税やインフラ投資は、その審議すら始まっていない。9月末までに終えなければならない2018年度の予算審議や債務上限の引き上げなど、処理しなければならない課題も山積したままだ。

振り返ってみれば、共和党多数の議会が実現した数少ない成果は、トランプ政権に盾突く内容だった。7月末までに上下両院は、対ロシア制裁に関する法案を、圧倒的な多数で可決している。今後の制裁緩和には議会が関与することになり、トランプ政権の裁量は狭まった。数少ない成果が自らの大統領を縛る内容とは、何とも皮肉な展開である。

そうした中で、共和党が反転攻勢への期待をかけるのが、トランプ政権の公約である税制改革の実現である。7月27日には、トランプ政権と議会共和党の有力者による税制改革の共同方針が発表された。

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