瀕死状態でもトランプ政権が強い根本理由 有権者を支持者に絞ればいい
米上院共和党のオバマケア修正法案が岐路に立たされている。上院多数党院内総務ミッチ・マコーネル上院議員による「より良いケアの和解法(Better Care Reconciliation Act=BCRA)は驚くほど人気がなく、世論調査での支持は20%を下回ることが多い。
共和党の提案を過半数が支持している州は1つも存在しない。完全に二分している政治環境において、主要な提案がこれほどまでに嫌われることはほぼありえない。それでは、なぜ下院は同様の法案を可決し、また、マコーネル上院議員は自らの法案を直ちに葬らなかったのか。
国民をより高齢に、白人に、裕福な人に限定
政治の土俵が大きく共和党側に傾いているため、多くの共和党議員は激しい政治的反発を受けていない。現在、ホワイトハウスは「選挙人」を減らすという歪んだ戦略でもって、これをさらに推し進めようとしている。
ドナルド・トランプ政権は6月下旬、「国民」をより高齢に、より白人に、そしてより裕福な人たちに限定することにより共和党の勢力を高める一連の措置を発表した。
選挙の健全性を調べる大統領諮問委員会は目下、有権者に関する詳細な州ごとのデータを要求している。データを要求するだけで有権者の登録がストップするという証拠がすでに存在している。選挙に詳しい専門家によると、有権者名簿はすでに別の土地に引っ越した有権者を依然掲載しているなど、少なからず誤りがある。おそらくトランプ政権はこれを利用して煩雑な身元確認要件など取り入れて投票を抑制することを正当化しようとしている。
その同じ週、米政府は選挙不正調査委員会の委員にハンス・フォン・スパコフスキー氏を任命した。同氏は、長年不正投票について根拠のない主張を続けている人物だ。しかも、同委員会の議長は、物議を醸しているカンザス州のクリス・カバ州務長官が務めている。