激変する不動産ファイナンス--外資撤退で迫る”9月クライシス”

 CMBS(商業用不動産担保ローン証券)で異変が起きたのは、6月25日。モルガン・スタンレー証券が組成した「JLOC38」(2007年9月発行、発行総額829億円)のクラスD社債(BBB格、発行額48・5億円)が、それだ。この案件を裏付けるローンの1本が同日、返済期限を迎えたが、返済がなされず、国内CMBSで初のデフォルト案件となった。対象のローンの優先部分のみCMBSに組み込まれており、この部分が毀損する可能性は低いとみられるが、不動産をめぐる環境の悪化を背景に各格付け会社は一斉に格付け見直しを表明した。

デフォルトしたローンの裏付けとなる不動産、金額、要因などの詳細は不明だ。だが、関係者によれば、不動産は渋谷周辺の開発案件。事実上の所有者は、近年、国内不動産会社やJ‐REITなどにも投資を行っている米系の不動産ファンドだという。通常、キャッシュフローを生まない開発案件がCMBSに組み込まれる事例は少ない。

関係者は「07年に発行されたCMBSの中身の質を問う声があったが、その真実味を感じさせる一件だ。影響は大きい。このCMBSは100件以上の不動産や信託受益権を裏付けとしているが、このデフォルトで、現在以上に複数の案件を組み込んだCMBSが売れにくくなるだろう」と予測する。外資系レンダーからは「CMBS案件ではないが、けっこう、水面下では不動産ノンリコースローンのデフォルトも生じ始めている。この一件がレンダー側に与える影響は少ない」との声もあるにはあるが……。

このCMBSを組成したモルガン・スタンレー証券は、2月に続き6月にもリストラを実施。不動産流動化部隊はピーク時170人から30人程度に減少。この6月のリストラは、不動産関連や証券化にかかわらず全部門に及び、120人程度を削減したもようだ。関係者は「この下期、秋口にも追加リストラがある」と話すが、早くも7月に着手したとする見方もある。サブプライム問題の影響で米系投資銀行は依然、全世界的にリストラ、アセット縮小を続け、日本も例外ではない。

CMBS年間発行は半減 スプレッドは急拡大

金額が減少したものの、下表1のとおり、今年3~4月にはCMBSの駆け込み発行があった。だが、昨夏のサブプライム問題を契機に事実上ノンリコースローンが停止している中での話であり、それまでに積み上げてきたローン在庫を恐る恐る吐き出しているのが、実態だ。国内機関投資家の動きは極めて鈍調だ。裏付け資産一件一件の精査を求めるなど証券化商品への金融庁の目線は依然として厳しい。投資家としては、地銀も裏付け資産が数棟など内容が把握しやすいCMBSに投資を絞っている。何より、クレジットスプレッドが昨年前半と様変わりした現状にあっては、投資家サイドの要求利回りはA格以上でも100bpを超えるケースも珍しくない。

ただ、発行後も市場に滞留していた未消化在庫は減少しているようだ。「条件は表に出ないが、相対取引を通じ、ダンピングに次ぐダンピングでたたき売り、減少してきている」(業界関係者)という。

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