中古車ガリバー、アジア800店計画の勝算 国内2倍のネットワークをたった5年で構築へ
ASEAN全体における関税撤廃の動きも後押しになった。ASEAN加盟10カ国のうちタイやインドネシアなど6カ国では、すでに関税が撤廃されており、2015年までには残り4カ国でも関税が撤廃される予定だ。加盟国内での物品やサービスなどの流動性が高まることで、多国間での自動車売買が活発化する。
もちろん課題はある。「人によって買い取り価格の査定にバラツキが生じないか。あるいは在庫管理を適正にできるのか。タイでは個人経営の中古車店は多いものの、ナショナルチェーンとしての中古車買い取り店はない。人材育成が大きな課題といえる」(許哲・執行役員)。
タイ損保大手との合弁関係に勝算
この点を含めても、ガリバーには勝算があるようだ。先行した米国事業が直営店展開だったのに対し、タイでは現地の有力企業である、損害保険最大手のビリヤ・グループと合弁事業という形態をとりフランチャイズチェーン方式でビジネスを展開していく。
「昨年の7~8月ごろに合弁相手のリサーチを始めた。そのなかで、日本の金融機関に紹介していただいたのがビリヤ。ビリヤは損保大手だが、三菱自動車やマツダなどの自動車ディーラーも展開するほか、板金などサービス事業のノウハウもあり自動車事業への取り組みも積極的です。単独でやれば参入障壁などもあるが、現地企業と組むことでそういうリスクを減らすこともできる」。許・執行役員はこう語る。
現地でネットワークを有する企業とタッグを組むことの意義は大きい。たとえば、国内トラック大手のいすゞ自動車は、タイで1トンピックアップトラックの販売が好調だ。2012年のタイでのピックアップシェアは1位であるトヨタ自動車の約40%に続いて、同30%と2位につける。それを支えるのがタイでの販売を担う三菱商事の存在だ。三菱商事のタイにおける強力な販売網をいかし、いすゞの販売は競争力を維持・向上してきた。
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